〈本業上回る稼ぎぶり〉コーエーテクモ、「驚異の運用益」の裏で進む "脱カリスマ" 凄腕投資家・襟川恵子名誉会長ありきの体制から変われるか
その1つがポートフォリオの組み換えだ。
従来は資産に占める株式の比率が高かったが、安定的に収益を得られるよう、22年頃からは債券の比率を増やしつつ、不良資産の処分を進めている。
25年3月末時点の貸借対照表を見ると、有価証券と投資有価証券の合計は約1200億円で、その他に不動産や非上場株式を保有しているが、10月に公表された統合報告書によると、運用ポートフォリオの内訳は約4割が株式、3割が債券、3割がその他という。
本業のゲームでも次世代への継承が進む
運用体制でも、変化がみられる。
少なくとも数年前からは、数名の社員を含むチーム体制で運用している。今年2月には子会社としてコーエーテクモコーポレートファイナンスを設立し、社長には恵子氏、取締役には襟川夫妻の長女の芽衣氏や浅野CFOらが就いた。新会社では、コーエーテクモゲームスが担っていた運用機能を吸収分割するなど、グループの資産運用機能を集約した。運用資金とゲーム事業の資金を明確に仕分けることで、ガバナンスを強化した形だ。
次世代への継承は本業のゲーム事業でも進められてきた。
6月には、それまで会長だった恵子氏が名誉会長、同じく社長だった陽一氏が会長に就任し、監督の立場から経営に関与する体制に移行。新社長には15年からコーエーテクモゲームスの社長も務めてきた鯉沼久史・前副社長が就任した。
陽一氏は「シブサワ・コウ」の名で歴史シミュレーションゲームなどの分野を開拓してきたが、10月の決算説明会で今後のジャンル展開について問われた鯉沼社長は「タイトルについては得意分野を持つ各スタジオから提案がある。現場からよいものが出るように体制づくりをしている」と話した。
ゲーム業界では開発費が膨張し各社の業績の重荷となる中、ヒットの有無による変動リスクも高まっている。ゲーム開発の貴重な元手を生み出す運用体制についても、脱カリスマを進めて次世代へと継承できるのか。老舗ゲームメーカーが難題に挑もうとしている。
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