賛否両論ありながら…。それでも細田守監督《果てしなきスカーレット》が正月映画興行の"大本命"であるワケ

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聖と出会う前のスカーレットは生きる意味を考えもしなかった。それが旅を通していつしか、人は何のために生きるのか、人生とは何のためにあるのか、を考えるようになる。

アイデンティティの探求は、誰もが通る道だろう。本作が描くのは、いつの時代にもある、若者たちの自分探しの旅のハード版として見ることができるかもしれない。

その普遍的な問いかけは、あらゆる文化やエンターテインメントから、常に若者たちに向けて投げかけられている。細田監督にとってそれは、現在の不穏な世界情勢のなかで、恵まれた豊かな環境で目の前のことに執着して生きるわれわれ日本人に、いま問いかけたいメッセージなのかもしれない。

果てしなきスカーレット
(C)2025 スタジオ地図

青くさいほどに真っ直ぐなメッセージ

果てしなきスカーレット
(C)2025 スタジオ地図

本作が伝えるのは、争いをなくそうという世界平和のメッセージであり、同時に、生きづらい現代社会を必死に生きることの人それぞれの意味を問いかけている。

ある意味、伝えるテーマは真っ直ぐであり、ありきたりとも言えるかもしれない。加えて、ストーリーは子ども向けのわかりやすい構造の王道のアクション作品だ。誰もが楽しめる万人向けの映画である一方、大人の映画ファンにとっては、その物語性を物足りなく感じる部分もあるかもしれない。

それでも、青くさいほどに真っ直ぐな思いが込められたド直球のストーリーと、それを映すアニメーションの圧巻の美しさには、観客の心を揺さぶる力が宿っている。

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