〈出足は過去最高ペース〉任天堂スイッチ2、"ロケットスタート"の先で問われる真の実力…「初代スイッチ向けビジネス」との兼ね合いで難しい舵取りも

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となると、スイッチ2の”真の実力”を測るうえでは、この好調ぶりをどこまで持続できるかが焦点となる。スイッチで十分と考えるライトなユーザーにも、相対的に価格の高いスイッチ2をいかに訴求するかが今後は重要だ。

有力な手段となりうるのが、スイッチ2専用の自社ソフトを投入していくことだ。ただ、いまだ根強い人気を持ち、重要な収益基盤である初代スイッチ向けビジネスとの間では、バランス感覚を持った難しい舵取りが求められる。

スイッチ向けには今後もソフトの発売が予定されており、10月30日には、スイッチ向けの「あつまれ どうぶつの森」を4年ぶりに無料アップデートすることが発表された。スイッチ本体についても「今後も事業環境を踏まえながら、可能な限り販売を継続していく」(古川社長)方針だ。

開発リソースをどう配分するか

そこで課題となりそうなのが、任天堂社内での開発リソースの配分だ。決算説明会で任天堂の高橋伸也取締役専務執行役員は「スイッチ2のまったく新しいタイトルやシリーズ新作の開発と、スイッチソフトのアップデートとのバランスについては常に検討している」と話した。

外部のソフトメーカーによる、スイッチ2の性能を生かした大作の供給も欠かせない。近年は開発費の高騰を背景に、各社はソフトをマルチプラットフォームに対応させることで投資の回収を図っている。ソフトメーカーにとっては、スイッチ2よりも、累積販売台数の多い初代スイッチのほうがソフトの販売本数を見込みやすい。

年末商戦の結果を受けて専用タイトルの開発に着手したとしても、発売までは数年はかかる。任天堂は開発やプロモーションをサポートするなどしてスイッチ2向けタイトルの開発を促していくとみられるが、ソフトメーカーの開発の軸足がスイッチから移行するには時間がかかりそうだ。

かつてないロングヒットとなったスイッチからスイッチ2へ、世代交代を成功させられるのか。ゲーム業界の王者の手腕がこれから問われる。

スイッチ2専用ソフトに求められる2つの役割や、ソフト開発に対するメーカーからの反応などに触れた本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「〈初速は過去最高〉任天堂、「スイッチ2爆売れ」の先で求められる"世代交代" ユーザーの8割超は初代スイッチからの移行…"専用ソフト"投入が焦点に」でご覧いただけます。
田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、キャラクターなどのエンタメ業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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