翻弄される南相馬市小高区の住民 除染後回しで警戒区域を解除

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自宅への立ち入りが自由になったとはいえ、マイカーを持たない高齢者にとっては、自宅に戻る交通手段がないのも実情だ。「せめて仮設住宅との間を行き来するバスを走らせるなど、交通弱者対策を講じてほしい」(仮設住宅住民を支援するボランティアグループ「つながっぺ南相馬」の藤和子さん=自身も小高区住民)という声も上がっている。

原発事故に加え、自宅の津波被害で避難を強いられた南相馬市立総合病院看護師の永野真弓さん(44)は、「家族や職員、患者さんとの絆だけをよりどころに頑張っている」と話す。2児の母でもある永野さんは今年4月に再オープンした市立病院3階病棟(産婦人科、リハビリテーション科、在宅診療科)の看護師長としての重責を担う。その永野さんも「中ぶらりんの生活が何年続くかわからず、不安が募る」と打ち明ける。

着の身着のままの避難を強いられた小高区住民の現状はあまりにも過酷だ。

 


小高区を守る防犯パトロール車

 

 


集会所に集う小高区の人たち(鹿島区内の仮設住宅)

 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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