「"ラブブ"より50年も前にヒット」「実はブームになるのは3回目」 日本の《モンチッチ》が、今また世界的ブームの背景

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モンチッチが姿を消して10年ほど経った頃、海外から思わぬ声が届く。

「ドイツの代理店から『モンチッチをもう一度やってくれないか』という話があったのです。販売終了後もモンチッチ人気は続いていて、絶対に売りたい、と。そこから再販の準備が始まりました」

96年(平成8年)、モンチッチは海外主導で復活を遂げ、ドイツ、ニューヨーク、日本で販売された。「子ども向け」にはせず、大人も楽しめるモンチッチを作ることを決めた。

タヌタヌ
「モンチッチのおともだち」もたくさん登場した。右はたぬきの「タヌタヌ」、左はうさぎの「チムたん」(撮影:今井康一)

2度目のブームは「モンチッチ家族化計画」

00年代、モンチッチのブームが再来する。

社長に就任した吉野さんは、来るモンチッチ誕生30周年に向けてインパクトある企画を考えていた。

「社内でアイデアを募ったところ、『モンチッチ家族化計画』の企画書が上がってきたんです。モンチッチが結婚して家族を持つアイデアで、ビジネス的にも広がりがあり、じゃあやろう、となりました」

家族化計画は実に本格的だ。

04年1月26日大安、舞浜のシェラトンホテルで「モンチッチくん&モンチッチちゃんの結婚式」が執り行われた。吉野社長をはじめ社員も立ち会い、さらに10カ月後に赤ちゃんの「ベビチッチ」が誕生するプロモーションだ。

大人が真面目にぬいぐるみの結婚式を行う様子はユニークで、多くの人にモンチッチを知ってもらう機会につながったという。

モンチッチ
本格的だった「モンチッチくん&モンチッチちゃんの結婚式」(写真:株式会社セキグチ提供)

このころは、モンチッチ情報誌『モンチッチEXPRESS』(02〜16年)を発行するなど、ファンへのアプローチはより多様になった。

10年にモンチッチがエアギター日本大会に出場してまさかの準優勝を果たしたり、12年に葛飾区観光協会の広報課長に就任して地域の魅力を紹介したり、モンチッチが楽しそうに活動する姿が印象に残っている。

さまざまなコラボレーション企画が行われるなど、ビジネスは豊かに展開した。

そして令和の今、モンチッチは3度目のブームを迎えている。

先述の通り、モンチッチの年間の売り上げは2年前の約5.5倍となる見込みだ。一方で、セキグチでは、ライセンス商品やノンキャラのぬいぐるみにも力を入れている。今年注目を集めた「ミャクミャク」の公式ぬいぐるみを手がけたのはセキグチである。

後編【2025年のブーム「モンチッチ」「ミャクミャク」"2つの大ヒット"を生んだ《ぬいぐるみ会社の正体》 韓国では今「ベビチッチ」ブームも】では「ミャクミャク」の話題にも触れながら、ぬいぐるみの今を追う。

モンチッチ公園
株式会社セキグチの近くにはモンチッチ公園(愛称)がある(撮影:今井康一)
鈴木 ゆう子 ライター

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すずき ゆうこ / Yuko Suzuki

総合雑誌編集部、住宅誌編集部などを経て、フリーランスとして活動。趣味実用、住宅、インタビューなどを手掛けている。「東洋経済オンラインアワード2024」クリエイティブ賞受賞。

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