「"ラブブ"より50年も前にヒット」「実はブームになるのは3回目」 日本の《モンチッチ》が、今また世界的ブームの背景

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ほかにもコラボレーションやキャンペーンなどを行い、話題化の機会を醸成した。今年8月には「モンチッチ展」を開催するなど、インパクトあるイベントも開催している。

これらのプロモーションを同時多発的に行い、地道な仕掛けもかけ合わせ、モンチッチのヒットにつながったのである。

今回のブームは、モンチッチの歴史では実は「3回目」という。これまでのモンチッチの歴史を探るべく、株式会社セキグチが創業した100年前にさかのぼる。

モンチッチ
モンチッチの足裏には「monchhichi」のロゴが刻まれている(撮影:今井康一)

人形の会社が「ぬいぐるみ」を作ろうとして…

株式会社セキグチが社屋を構えるのは、古くからの町工場が多い葛飾区西新小岩。大正時代、周辺は農村地で、農業や「ふのり」の製造が行われていた。閑散期となる時期に金属や樹脂の加工を始めるようになり、家業とする家も増えていく。

セキグチも同様で、1918年(大正7年)に「関口セルロイド加工所」を設立し、セルロイド玩具の加工業を始めた。当時は、注文を受けてキューピー人形などを製造し、海外に輸出する工場のような立ち位置だった。

セキグチ
株式会社セキグチの社史。開いたページに映るのは関口セルロイド加工所時代に製造したセルロイド人形(撮影:今井康一)

第2次世界大戦では取引先を失うなど打撃を受けるが、終戦後に人形玩具の製造を再開する。素材をソフトビニール素材(塩化ビニル)に変えて製品化に成功し、売り上げを伸ばしていった。

しかし、為替や人件費の関係から、60年代後半には市場を国内に移すことに。自社ブランドを生み出して販売する方向に切り替えた。

69年、ソフビ製の人形「ポッポちゃん」が誕生。ドラマ『おくさまは18歳』(70年)に登場したことでも知られる人形である。

ポッポちゃん
左のページに映っているのが「ポッポちゃん」(撮影:今井康一)

そして72年に画期的なスタイルの商品が登場する。顔や手足はソフビ素材で、胴体は布や綿のぬいぐるみ素材で作られた「くたくたシリーズ」だ。

次ページボディがやわらかいぬいぐるみは斬新だった
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事