「"ラブブ"より50年も前にヒット」「実はブームになるのは3回目」 日本の《モンチッチ》が、今また世界的ブームの背景
「もともとうちは人形を作る会社で、60年代にぬいぐるみにも進出しようとしたんです。しかし、布や綿のぬいぐるみでは顔を上手に作れない。人形づくりの『成型』ならできるということで、人形とぬいぐるみを組み合わせた形が生まれました」
人形は、「原型師」が生み出した型に素材を流し込んで「成型」して作られる。その技術で顔と手足を成形し、胴体部分をボア(布)と綿で縫製し、出来上がったのが「くたくたモンキー」である。
当時のぬいぐるみは硬めで自立するものが多く、ボディがくたくたでやわらかいぬいぐるみは斬新だったようだ。
その弟分として74年に誕生したのが、「モンチッチ」だ。顔やボディのデザインは、世界中の子どもたちに愛されることを目指して考案された。
発売後、モンチッチは大ヒットを記録。翌75年にはオーストリアに輸出され、海外デビューを果たす。
これがモンチッチの第1次ブームである。「モンチッチの仲間たち」や「マイチッチ」「チムたん」などが続々と誕生し、ごっこ遊びもできる衣装や小さな家具なども作られている。テレビCMに登場したりレコードデビューを果たしたり、キャラクターとしても一躍有名になった。
ちなみにモンチッチは近隣の工場を中心に作られていたという。
「大きな工場でラインを組んで製造していたわけではありません。成型をする町工場があったり、ミシンが上手な方がいて地域に根ざした内職のような産業で作られていたようでした」
毛並みの調整や細部の仕上げ、品質チェックを行い、合格したモンチッチが国内外へと送られていった。
モンチッチには「空白の10年」があった
そんな盛り上がりも次第に落ち着く。85年、モンチッチはフランスを残して生産と販売を終了した。
吉野社長は「当たり前のことですが」と前置きをしながら、「セキグチには『売れているものはいずれ売れなくなる』という考えがあるんです」と語る。ブームは永遠には続かない。玩具メーカーとして先を見越して商品を生み出していかなければならない。
このころセキグチでは「カッパのキューキュー」や「ピカポン」「フラッフィーバルーン」など、オリジナルのぬいぐるみもどんどん登場している。根強い人気があり、復刻希望の声によってリニューアル販売しているキャラクターもある。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら