維新・藤田共同代表の"公金還流疑惑"で露と消えた「衆院電撃解散説」の深層、《電撃》はなくなったが《そう遠くないうち解散》は十分ありうる?

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しかも、11月7日から14日までは衆参両院の予算委で各3日間、高市内閣と各党幹部による論戦が実施される。最優先課題である「物価高対策」は、円安の影響もあって、即効性のある具体策は見当たらないのが実情。その中で、高市首相が日米首脳会談で約束した「防衛費増額の前倒し実施」は補正予算案を編成するうえでの大きな足かせとなっており、野党の追及をかわしきれるかは不透明だ。

だからこそ、自民党内では「これからの1カ月間は、出たとこ勝負の遭遇戦」(国対幹部)と身構える声が少なくない。

「そう遠くないうち解散」の3つのシナリオ

高市首相
高市首相はいかなる決断を下すのか(写真:ブルームバーグ)

高市首相は代表質問に答える中で、早期の衆院解散について「そんなことを考える暇はない」と繰り返し否定している。しかし、ここにきて、自民党内だけでなく野党幹部からも「早期ではないが、そう遠くないうちの解散は十分可能性がある」との見方が広がっている。

関係者の見方を総合すると、具体的な解散時期は①今年度補正予算成立後の年末か年明け、②来年度予算成立後の4月、③通常国会会期末の6月、という3パターンが想定されている。

①のケースは「トランプ関税などによる国際社会の動揺・分断の中で、解散による政治空白と政局混乱は絶対避けるべきだ」(自民党幹部)との声が支配的。そのため、高市首相にとっては②と③の2択となるが、「国民生活への悪影響も考慮すれば、どちらもリスクの高い選択になる」(官邸筋)との見方が多い。

加えて、連立相手である維新は「早期解散には絶対反対」(幹部)とされる。立憲民主党など野党側も「各党の野党政権樹立への機運は乏しく、当分は足の引っ張り合いが続く」(立憲民主党幹部)と、思案投げ首のお寒い状況だ。

さらに、各種世論調査での高市内閣の超高支持率と比べると、自民党の支持率は数ポイントの増加にとどまっている。この点について、自民党幹部の多くは「政治とカネの問題も含め、自民党への国民的不満はまったく収まっていない」として、「押せ押せで解散などすれば、有権者から手痛いしっぺい返しを受ける」と肩をすくめる。

もちろん、今回の“怪情報”にみられるように「政局の一寸先は闇で、いつ何が起こるかは予測不能」(自民党幹部)なのは事実。ただ、多くの政界関係者の間で、今後の政局の展開について「仮に高市内閣の高支持率が続いていても、政権維持に執念も燃やす高市首相は、解散によるリスクを避け、自らの総裁任期となる27年9月の総裁再選による長期政権を狙う戦略」(側近)という“常識的”な見方が広がりつつある。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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