そのとき、自分の外側に答えを求めるのではなく、まず自分自身と向き合う。自分はきちんと物事を見ることができているだろうか。自分の思い込みで物事を見ていないだろうか。
独りよがりになっていないだろうか。そんなふうに自分の内側に目を向けなさいというのが、正見という仏教の教えです。
宗教を「真理」と「文化」に分けて考える
宗教の対立について考えるときには、「真理」と「文化」を分けて考えるといいでしょう。これが宗教対立を「正しく見る(正見)」ためのコツです。
真理というのは、「時代が変わっても場所が変わっても、変わらない原則」のこと。例えば、水が入った器を傾ければ、水はこぼれます。この現象は、1000年前のインドでも、100年前のブラジルでも、現在の日本でも起こります。これは時代が代わっても、場所が変わっても変わらない原則です。
世界宗教といわれる宗教は愛を説き、仏教では慈悲心を説いています。これは人々が幸せに生きていくために欠かせない原則です。時代も場所も問わないこの原理原則は、真理です。ここでは、あまり対立は生まれません。
もうひとつ、宗教には文化があります。この文化とは、特定のコミュニティにしか通用しない習俗、風俗、言語といったものを指しています。例えば同じ仏教でも、東南アジアのお坊さんと日本のお坊さんは着ているものが違います。日本の中でも宗派によって、はたまた同じ宗派の中でさえ、着物やその着方に違いがあります。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら