がん検診一筋の60代医師が「ステージ4」の進行がんに。《毎年検診を受けていたのに…》それでも「やっぱり検診は必要」揺るがぬ考え
「がん検診を受けましょう」。国のがん対策推進に長く関わり、多くの人にそう呼びかけていた“がん検診のスペシャリスト”である医師に肺がんが見つかった。しかも両肺や脳に転移している「ステージ4」の進行がんだ。
毎年受け続けた検診。前回の検診では気づかなかったのに、1年後にはステージ4——。それでも彼は「がん検診の大切さ」を訴え続ける。
首のリンパ節に腫れを見つけて
医師の名は松田一夫さん(69)。がん検診事業に本格的に関わるようになったのは、福井県民健康センターに勤め始めた30年ほど前だ。以来、ずっとがん検診のスペシャリストとして、多くの受診者を支えてきた。
なかでも大腸がんについては造詣が深く、東洋経済オンラインでも以下の記事に登場している。実は検便は日本発の優れた検診方法であるという、目から鱗の記事だ。
松田さんに症状が表れたのは、今年に入ってから。前回受けた検診から10カ月ほど経っていた。
「厳密に言うと、心当たりがあったのはもう少し前になりますね。去年の夏ぐらいからランニングをするとこれまでと違って、息が切れて走れなくなった。思い返すとあれが最初の症状だったかな、と」
具体的に異変に気付いたのは年明け。左の首(鎖骨の上)のリンパ節に腫れを見つけたのだ。
それからは医師として気にかかり毎日チェックしていたが、「大きくならないし、よく動く。だから大丈夫だろう」。そう思っていた矢先、今度は雪かき中に圧迫骨折をしてしまう。後でわかるが、がんの骨転移によるものだった。


















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