クマ被害が止まらない東北、過去10年で少子化「ワースト5入り」の厳しい現実

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2014年と2024年の出生数を比較すると、日本は全国平均では31.6%の出生減となっている(ランキング表参照)。しかし、ワースト5をみるとわずか10年で41~45%も減少し、秋田県、岩手県、福島県、青森県、山形県とすべて東北地方となっている。

少子化を出生率の低下だけで考えてきた人には予想しにくい事態かもしれないが、出生率はあくまでも「地元に残った女性1人あたりが生涯に子を持つ数の指標」であり、地元から主に就職でいなくなった女性たちが地元で産むはずだった「出生機会損失」の影響はまったく反映されない。

また、就職で地元からいなくなるのは20代前半の女性たちがほとんどのため、ほぼ未婚女性である。つまり、女性の流出≒未婚女性の流出=地元女性の有配偶率の自動上昇、という流れが起こっており、就職流出だけで出生率が高くなってしまうという厄介な状況となっている。

統計的な詳説は省くが、就職をメインとした20代女性人流が活発な日本において「自治体出生率は少子化度合いの比較指標とならない」ことに留意が必要である。

宮城県(仙台)のもつ東北の雇用人口ダム機能が決壊

また、少子化ワースト5すべてが東北地方であるとともに、中核都市仙台市をもつ宮城県もワースト12位と高い位置にランクインしている。中高年世代は、宮城県はほかの東北5県から若者が就職でやってくるから、若者減から唯一まぬかれている「勝ち組エリアでは?」と思う人が多いが、実はそうではない。

学生(10代後半人口)こそ転入超過(転入数>転出数)にあるものの、東京圏に大量に若者を就職転出超過させているため、20代人口の社会減が大きく、その結果として県自体も2016年以降、総数で転出超過エリアとなってしまっている(コロナによる影響下の22年を除く)。つまり宮城県(仙台)のもつ東北の雇用人口ダム機能がすでに弱体化し、決壊を起こしているのである。

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