「菅田将暉の"眉"がすごい」「こんな顔だっけ?」 フジドラマ『もしがく』での《激変》に見えた"圧倒的な強さ"

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菅田将暉は2009年の『仮面ライダーW』でデビュー。

歴代ライダーのオーディションに携わってきた脚本家・三条陸氏は、17年の仮面ライダーを特集したバラエティー番組で、自分が立ち会ったなかで最も印象に残っているライダーの1人に彼を挙げ「オーディション時からキラキラしていた」と回想。

ちなみに、歴代ライダーの選考ポイントは、「そのとき一番旬で、時代を感じさせるカッコいい人」だという。

確かに菅田は本来、ファッションセンスも、立ち姿も、ほどよい親近感も、非常に“イマドキ”な人なのだ。KDDIのCM「三太郎」シリーズの鬼ちゃん役や、ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(16年)では、その魅力をしかと観ることができる。

もしがく
気取らない人柄や、独特のファッションセンスも菅田将暉の魅力(写真:フジテレビ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』公式Xより)

ところが、映画『共喰い』(13年)、『火花』(17年)、そして今回の『もしがく』といった昭和の作品になれば、一気にアナログ感と墨と紙で描かれた文学臭を出してくる。

同じく昭和感を出せる俳優に仲野太賀、神木隆之介、二宮和也などがいるが、菅田は群を抜いてハードボイルド。しかも「ナチュラルでリアル」のもう一つ先、リアルな昭和世代には出せない虚構とスタイリッシュさを彼はちゃんと連れてくるのだ。

それがドラマに有効に働き、エンタメとして最高にすばらしい「ザ・昭和」に昇華する。

寺山修司原作の映画『あゝ、荒野』(17年)は、その特徴が強烈に生きた1本。エロスも暴力もふんだんに描かれるが、拒否感を覚える暇なく、菅田の真っ黒な眉に引き寄せられ、昭和という時代の不条理と生命力に陶酔する。

やはり菅田将暉の「眉」は強い。あの眉は、表現の着火用マッチ。心に火をつけられる。

菅田将暉
今回の「もしがく」では特に眉の主張が激しい(写真:フジテレビ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』公式サイトより)

“昭和男”と“平成男子”を演じ分けた『民王』

菅田が、その眉パワーと演技力を自在に操り「昭和」と「平成」を演じ分け、お茶の間にその名と実力をとどろかせたのが、ドラマ『民王』(15年)だ。

池井戸潤原作の政治コメディーで、政治の理想などすっかり忘れてしまった内閣総理大臣・武藤泰山と、気が弱く勉強が苦手だがやさしい息子・武藤翔が入れ替わる物語である。

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