高市首相が指示した「労働時間の規制の緩和」と「少子化対策」は"絶望的"に両立が難しい理由
選挙ではよく「女性が社会進出すると少子化が加速する」「専業主婦になることを応援すべきだ」という主張が取り沙汰されていました。しかしこれは「統計的にみて大いなる誤解」と、ニッセイ基礎研究所のシニアリサーチャー・天野馨南子氏は指摘しています。
現在の日本ではすでに共働き世帯のほうが子どもの数は多いのです。調査によると、18歳未満の子どもがいる世帯割合で、1子世帯は専業主婦世帯のほうが39%と共働き世帯より8ポイントも高く、多子世帯といわれる2子、3子がいる世帯割合は、いずれも共働き世帯のほうが3〜5ポイント高くなっています。
「家族の時間を確保できる労働時間の社会」が重要
さらに京都大学の柴田悠教授は、日本での多数の調査研究を分析した結果、夫の収入に変化がない条件下で、「夫の労働時間・通勤時間」が減ると、「夫の家事時間・育児時間」が増え、「妻の出生意欲・希望子ども数・第1子出産確率・第2子出産確率・子ども数」が増える傾向があることを導き出しました。
「男性稼ぎ主モデルの働き方による男性の長時間労働社会」の職場では出産した女性の賃金や就業率が下がる「チャイルドペナルティー」が起きること、産後の妻が「ワンオペ育児」に凝りて第2子以降の出産意欲をさげることこそが少子化を加速させているので、夫婦ともに子育てに充てられる「家族の時間を確保できる労働時間の社会」にしなければ、少子化は進むということです。
実際に、労働時間の短縮は、フランスの少子化対策にも深い関係があります。フランスでは1997年のロビアン法、2000年のオブリー法等で、少子化対策として労働時間短縮(週35時間労働の義務化)が導入されました。
これは家庭と仕事の両立を支援し、育児時間の確保を目指すものであり、柔軟な婚姻制度や手厚い育児支援策と併せて、出生率の回復に一定の効果があったと見られています。



















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