心理カウンセラーが説く、上司は部下に「共感」はしても、安易に「同感」してはいけない"納得の理由"
会話する相手との関係を上下でとらえると、上手な聴き方ができなくなります。
例えば、相談されると、相談してきた人(悩んでいる人)が下で、相談を受けているほうが上だと思ってしまいます。カウンセラーとして仕事を始めたばかりの頃の私も、そうだったかもしれません。
そういう心理が働くと、相手に対して上から目線になります。本人に「上から」という意識はなくても、相手のためにと思っていたとしても、「教えてあげる」「解決してあげる」というスタンスになる。要するに、ティーチングやコーチングです。
相談ごとや悩みごとでなくても、上下の関係を意識すると、ラーニングではなくティーチングやコーチングのスタンスになります。
上司と部下、先輩と後輩、親と子、年上と年下、先生と生徒……。こうした関係は、誰が決めたわけではありませんが、世の中ではヨコの関係ではなく、タテの関係になります。
「教えてくれる?」「教えてくれてありがとう」
タテの関係での会話は、どうしても上の人のほうが話し手になりがちです。
例えば上司と部下の会話の場合、「今日は君の話をたくさん聴かせてよ」と上司が言ったところで、部下が聴き手に回ることが多くなります。
部下の話の中に気になる箇所があったりすると、それこそ上司が一方的に話すことになります。「今日は部下の話をよく聴いたなぁ」と思っていたとしても、客観的に見ると、上司のほうが話している時間が多いのはよくあることです。
これでは、聴き手としては失格。部下の話をうまく聴けるはずがありません。タテの関係性であったとしても、会話においては対等です。
上手な聴き手になりたいなら、自分が少し下だと思っているくらいがちょうどいいでしょう。
「教えてください」と「教えてくれてありがとう」。へりくだる必要はありませんが、この2つを意識していると、相手は安心して話すことができます。会話の主役は、あくまでも話し手。このことを忘れないようにしましょう。


















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