「結婚は?」「子どもは?」―地方女子が語り始めた「生きづらさ」の正体。"当たり前"を見つめ直す26歳女性のまなざし

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はじまりは21年。東京と山梨で就職活動をしていた山本代表は、山梨の企業で「うちは女性社員がいないけれど、あなたはやっていけるの?」と問われるなど、女性が別扱いを受けがちなことに違和感を抱いた。

このことがきっかけで、24年1月に地方女子プロジェクトを立ち上げ、インタビューを収録し動画配信を始めた。現在は賛同するメンバーが20人ほど参加し、そのうち5人がアクティブに活動している。

注目を集めたきっかけは24年6月17日、「クローズアップ現代」(NHK)の「女性たちが去っていく 地方創生10年・政策と現実のギャップ」で活動が紹介されたこと。

取材や講演の依頼が来るようになり、今年8月には、小説家の山内マリコ氏をトークイベントに招き、東京・青山ブックセンターで熱い議論を交わした。

結婚は?子どもは?エンドレスに続く質問

山本代表らがプロジェクトを通して集めた悩みで多いのは、シングル女性には「そろそろ結婚は?」、結婚した女性には「子どもはまだ?」、子どもを産んだ女性には「2人目は?」「3人目は?」などと聞くこと。子どもを産み育てることへの催促がエンドレスに続くのがわかる。

「こうした問いかけは『産めハラ(子どもを産むよう強制するハラスメント)』。女性が帰省するたびに家族や親戚などが、無自覚で挨拶代わりに尋ねるんです。

地方で働く人なら、客先でも挨拶のように言われることが多いです。積み重なるとしんどいですし、すごくつらくなってしまう方もいました」。不妊治療中にもかかわらず「そろそろ子どもは?」と近所の人に言われるため、「1歩家の外に出たら全員敵だと思う」と述懐する富山県在住者もいたという。

山本代表らが話を聞いた女性の約4割が、こうしたハラスメントを受けていた。それ以外の人たちはまだ学生であったり、都市部在住で近所付き合いがなかったりするため、日常的に言われないだけのようだ。

山本 蓮さん
山本 蓮(やまもと・れん)/1999年、山梨県生まれ。都留文科大学文学部卒業後、県内のベンチャー企業に就職後、現在はフリーランスのプログラミング講師として働きながら、地方女子プロジェクト(@chihoujoshi)代表を務める。韮崎市男女共同参画推進委員、内閣官房地域職場・働き方改革推進委員(写真:編集部撮影)

都心部から地方へ移住する人も多いが、移住者の女性も、このようなハラスメントのカヤの外というわけではない。

「大阪出身で、長崎で地域おこし協力隊に参加している女性が、『結婚や出産は考えていません』と言ったら、シニア男性に『お前みたいな人がいるから、日本がおかしくなっていくんじゃないか』と返されました。女性は言われっぱなしにせず、その男性とケンカしたそうです。

自然が好きとか、やりたいことがあって移住している方が多いので、その土地で暮らすこと自体は満足している。でも、『子どもは?』と言われがちな人間関係に、ストレスを感じている人はいるのではないでしょうか」(山本代表)

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