〈匿名座談会〉NTTの現役社員やOBたちがホンネで語ったNTTグループの内実。「ダイナミックループ一本締め」なる文化とは?

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社員は安定志向で、ジェネラリストが多いように感じる。年配の人はNTTの“長男坊”という意識の人が多く、主力事業会社では(NTTのシンボルである)「ダイナミックループ」が長年ロゴに入っていたのが東西で、NTTを背負う自負が強いと感じる。飲み会の締めで、両手でダイナミックループのような弧を描く「ダイナミックループ一本締め」という文化があるくらいだ。ただ、2000年代に普及した光回線の需要が一巡し、景気のよかった時代を知らない私のような世代からすれば少し距離感もある。

ドコモベテラン:「ダイナミックループ一本締め」は初めて聞いた。7月からドコモのロゴにもダイナミックループが加わったから、これからやることもあるのかな(笑)。

ドコモは事業規模が大きくて、社員は自分たちのことだけ考えておけばいいというか、グループで「自分たちが1番」だと思っているフシがあると思う。ほかのグループ企業についても「われ関せず」という感じで、何をやっているかも、あまりわかっていない人が多いのではないか。

ただ、もともとNTTグループの傍流からモバイルが急成長した経緯があり、昔は持ち株会社に対する反骨心があったが、ドコモがNTTの完全子会社になった後は持ち株側の意向が強くなった。一匹狼的な感じが変わってきた部分もある。7月のグループブランド刷新でダイナミックループが入ったのは、その象徴といえるかもしれない。

コム中堅OB:私は通信機器に触れる事業に関心がありNTTに入ったが、コムを選んだのは、NTT法の縛りがなく、好きなことをやれそうだったから。少し話題に上がったけど、東西は、国際案件ができないなど、縛りが多かった。コムにいたから言うわけではないが、周囲には優秀でチャレンジングな人が多かったと思う。

私がいた頃には、学生時代にバックパッカーとして海外を回っていた、今なら外資系企業や商社に行くようなグローバル志向の強い人材がどんどん入り、入社して間もない内に海外研修で経験を積んでいた。ただ、日本市場に米AWSなど外資系が本腰を入れて進出し始めた頃から、転職者が続出し、“GAFA予備校”ともいわれた。周りでもAWSやグーグルに転職して活躍する人は多くいたし、すごい人だと給料が4倍ほどになったそうだ。

顧客に張り付いて現場が強いのがデータ

データ中堅:データはSI(システムインテグレーション)の会社なので、たぶん、みんなとは少し毛色が違う。通信会社のように、電話線などを引くための莫大な投資をしてこなかったし、その意識も弱い。システムを見ている顧客にずっと張り付くので、社内より現場が強くなる。上司が何か言ってきても、「お客さんがこう言っていますから」と返すみたいな文化。「お客さんのためなら何でもできる」というクライアントファーストなのが特徴。ほかの主力会社と大きく異なるのは、「売るもの」が決まっていないところだと思う。

NTTグループの現役社員やOBのさらなる声は、東洋経済オンライン有料版記事「〈匿名座談会〉NTT東、ドコモ、データ、旧コムの現役社員やOBが語るホンネ。大規模改革で主力会社の地位や人事、仕事はこう変わった」でご覧いただけます。
茶山 瞭 東洋経済 記者

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ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞東京本社に入社。岐阜支局や経済部に在籍し、 司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。 2024年に東洋経済に移り、通信、SIer、データセンター業界を取材。メディア、都市、AIといった領域にも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

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