公明が連立離脱で政界の勢力図が激変、高市トレードには「非常にマイナス」と専門家
1999年以来続いた関係崩壊の原因について、法政大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)は「高市氏は就任後、公明の支持母体・創価学会へのあいさつより先に国民民主の玉木雄一郎代表と面会したと報じられた。学会員にとっては『何様のつもりだ』となり忍耐の限界だったのだろう」と指摘した。
幹事長代行に萩生田光一氏を起用した点も「(不記載問題で)秘書が在宅起訴された新しい問題を公明は重視している」と説明。「自民は今回、公明内の連立離脱論を甘くみていたところがある。高市氏は慌てて(党役員人事などで)非主流派に追いやった菅義偉元首相らに頭を下げて公明との関係修復を模索し始めたようだが、時すでに遅しだった」と話した。
国民民主などと連携急ぐ可能性
こうした状況の下、自民は多数派を確保するために国民民主や維新との連携を急ぐとみられる。
特に高市氏と政策的に近いとされるのが国民民主だ。玉木代表は連携の条件として、ガソリン暫定税率廃止、所得税非課税枠拡大を盛り込んだ昨年12月の3党幹事長合意を履行するよう求めている。高市氏はいずれも前向きとされ、両党の連携は進展する可能性もある。
国民民主は所得税非課税枠の178万円への拡大、企業に投資以上の償却を認める「ハイパー償却税制」の導入、「教育国債」を財源とする10兆円規模の教育・科学技術予算の確保を「新・三本の矢」として掲げている。
高市氏が主張する「責任ある積極財政」と呼応し両党の連携がこうした政策にも及べば、更なる財政拡大は必至だ。
ただ、自民、国民民主のみでは過半数に届かず、維新など他の野党を巻き込む必要もある。維新は副首都構想の実現や社会保障改革を強く打ち出しており、連携の枠組み次第で高市氏は政策面での更なる譲歩を迫られそうだ。
専門家は「非常にマイナス」「玉木政権ならポジティブ」
公明の連立離脱による市場への影響を専門家はどう見ているのか。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「野党と公明が国民民主の玉木氏の首相指名で連携すれば野党連立政権が生まれ、高市氏は下野した自民の総裁でしかなくなる」と指摘。「高市氏の経済政策を前提とした金融市場の動きは巻き戻しの流れになるだろう」とみる。
仮に野党連立政権となった場合は「ガソリン暫定税率廃止以外で野党合意は難しく、非常に混乱した野合政権になるだろう」とする一方、「自民政権が継続しても単独政権となり石破茂政権より不安定になる。どちらになっても政権は不安定で、金融市場には非常にマイナスだ」と話す。
SBI証券チーフ債券ストラテジストの道家映二氏は「公明が連立を離脱しても野党が連携し『玉木政権』となれば消費税減税路線で株式市場にはポジティブだ」と指摘。「自民の反高市グループが公明や立民と組み、林芳正官房長官か野田佳彦立民代表を首相に擁立する可能性もあるが、これは株式市場、金融市場にはマイナスに働くだろう」とした上で、「基本的には公明は条件闘争でまた自民との関係修復に向かう可能性があるとみている」と語った。
(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)
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