検証・米国経済は改善していない
求人率は改善しているのに、採用率は上がらず、乖離が広がっている。大学卒の採用率は改善しているが、16~24歳の雇用は改善していない。こうしたデータの背景には、ハイテクやITなど米国の産業構造が高度化し、企業が高学歴や熟練工を求めており、低学歴の移民を吸収してきた建設業などが振るわないということがあるようだ。
また、高齢化が進展する中で、景気のよいときには働いていた世代が、雇用環境が厳しい中で、職探しをあきらめて早めに市場から退出しているという指摘もある。このところの失業率の低下は、労働参加率が低下(図)したことによる“見せかけの改善”だと、バーナンキFRB議長もかねてから警告していた。本当に雇用環境が改善しているなら、労働参加率は上がってくるはずだからだ。「高齢化や共働き家庭が増えていることで、国内での労働移動が活発ではなくなっていることが、雇用のミスマッチを生み、同時に住宅の回転率を下げているという指摘もある」(小野氏)。
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