検証・米国経済は改善していない
しかし、バブルの大元である住宅市場は一向に回復していない。ピーク時の4分の1にまで落ち込んだ住宅着工件数の増加はわずかで、低水準にとどまっている。住宅価格の下落も続いている。下げ幅は縮まっているものの、まだマイナスが続く(図)。
実は第1四半期の好調な景気指標には、市場関係者から疑問の声も出ていた。
みずほ総合研究所の小野亮・主席研究員は、「金融危機後は季節調整をかけても歪みが残っているのではないかという議論が、最近になって盛んになっている」という。冬場の数字は強めに出て、年央の数字は弱くなる傾向があるというのだ。
また米国では、この冬がまれに見る暖冬であったことも、景気指標をカサ上げしているのではないかと指摘されていた。悪天候により勤めや買い物に出られないという日が、12~2月には例年よりも少なかったため、消費や生産、建設などにプラスの効果が出ている。
注目されていた3月の雇用統計は、失業率が8・2%と前月比0・1ポイント低下したものの、非農業部門雇用者数の増加が同12万人と、2月の半分にとどまった。「2月に比べると暖冬の恩恵を受けやすい業種での増加がなくなったり、減ったりしており、やはり暖冬の影響はあったと言わざるをえない」(小野氏)とされている。