三菱重工、JMU受注の新イージス搭載艦2隻の総コスト試算が0.9兆円から1.9兆円に膨張。実際には前代未聞の2兆円超えが確実な情勢

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もともと陸上用だったレーダーを海上で転用する「世界で初めて」の船であるため、すでにアメリカで導入実績があったこれまでのイージス艦とは異なり「後発の利」を享受できない。アメリカにすらない世界に1種だけの船となるため、定期整備などさまざまな面で特注対応が多くなる恐れがある。実際に何にいくらかかるかはいまだ見えない部分があるという。

2027~28年度就役予定の「イージス・システム搭載艦」は、陸上用の巨大レーダーを船に転用する世界で初めてのケースとなる(防衛省の公表資料より)

防衛装備品は、導入の際の初期コストだけでなく費だけでなく維持費も巨額なため、「ライフサイクルコスト(総コスト)」が重視されている。

大きさは従来のイージス艦の1.5倍

政府は2隻について、三菱重工業、ジャパン マリンユナイテッド(JMU)と1隻ずつ建造契約を結んでいる。三菱重工建造の1番艦が27年度に、JMU建造の2番艦が28年度に就役する予定となっている。船体規模は基準排水量約1万2000トンで、既存のイージス艦の1.5倍で、アメリカのイージス艦にもない大きさになる。

もともと陸上イージス導入方針は、北朝鮮のミサイルを念頭に2017年末に閣議決定された。だが、防衛省によるずさんな住民説明などが原因で配備候補地の秋田、山口両県の反発を招き、20年に政府が導入断念を決定。その後、契約済みだった陸上用のレーダーを船に載せて洋上転用する方針が決まった。

「日本にしかないガラパゴス艦」「負の遺産になりかねない」――。そんな懸念が自衛隊内外でくすぶるこの船は、なぜ巨額を投じて導入されることになったのか。ここに至るまでには、政治、防衛官僚、制服組自衛官らの思惑が複雑に絡まり合う紆余曲折があった。

政治、防衛官僚、制服組自衛官らの思惑が複雑に絡まり合う紆余曲折の全貌については東洋経済オンライン有料版記事「【独自】三菱重、JMUの新イージス搭載艦、2隻の総コストは21年試算0.9兆円から25年1.9兆円に膨張。それでも収まらず前代未聞の2兆円超えへ」でご覧いただけます。
伊藤 嘉孝 東洋経済 記者

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いとう・よしたか / Yoshitaka Ito

ブロック紙、全国紙を経て、2025年4月に東洋経済新報社入社。福岡県出身。

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