しかも、アルファード/ヴェルファイアに電気自動車(EV)の備えはない。現状ではガソリン車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)はあるが、おそらく今後もEVは出さないだろう。
輸入車でID.Buzzにサイズが近い車種というと、メルセデス・ベンツ「Vクラス」があるが、こちらの現行型はデビュー当初からディーゼルエンジンのみだ。

日本で電気自動車を求めるユーザーはたしかに少ないが、観光地の宿泊施設の送迎などの用途であれば、走行距離は短く、充電場所も不自由しないうえに、音や振動、排出ガスを抑えることがイメージ向上につながる。
伝統的な温泉旅館ならともかく、モダンなテイストをアピールするリゾートホテルなどであれば、ID.Buzzはデザイン、メカニズムともお似合いではないだろうか。
うちに秘めるフォルクスワーゲンの思想
そしてもうひとつ、走りについては、リアにモーターを搭載した後輪駆動であることも見逃せない。
我が国におけるフォルクスワーゲン・ブランドEVの第1弾だったID.4も同じレイアウトだが、ID.Buzzにおいては、かつてのタイプ2と似た駆動方式といえる。

アルファード/ヴェルファイアは横置きパワーユニットの前輪駆動が基本なので、ドライブフィールは異なるし、リアタイヤが路面を蹴って進むフィーリングに、フォルクスワーゲンらしさを感じる人もいるだろう。
見た目は昔のタイプ2とは違うと感じている人でも、その人がもしタイプ2をドライブしたことがあるなら、印象が好転するかもしれない。

もちろん、フォルクスワーゲンは狙ってこのパワートレインにしたわけではないと思っているが、そもそもタイプ2のベースモデルであるタイプ1(ビートル)も、フェルディナント・ポルシェ博士が理想の大衆車を目指して設計した機能重視のプロダクトであり、思想面でも共通しているところはあると感じている。
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