インテリアも、ポップなカラーコーディネートにタイプ2とのつながりを感じさせはするものの、メーターやセンターディスプレイ、ステアリングなどの造形は、同じIDシリーズのID.4に似ている。

シートについても同様で、色使いに遊び心はあっても“がっしり感”が伝わってくる形状は、現在のドイツ車そのものだ。
ただし、エクステリアを含めて、ちょっと厳しい見方になってしまうのは、筆者がフランス車やイタリア車と長い間付き合っていることもあるだろう。

たとえば、フィアット「パンダ」とプラットフォームやパワートレインを共有する「500(チンクエチェント)」は、あらゆる部分が独自のデザインだし、それを電動化した「500e」では、レトロタッチはそのままに、顔つきやインパネをエンジン車とまったく違えてきている。

レトロタッチの佇まいよりも、ブランドとしての統一感を大切にした造形は、質実剛健なフォルクスワーゲンならではともいえるけれど、個人的にはいまひとつ刺さってこないデザインである。
「きらびやか」を好まない人へ
ただし、比べる相手をサイズ的に近いアルファード/ヴェルファイアに変えると、ID.Buzzのインテリアは俄然、際立ってくる。
アルファード/ヴェルファイアは、「クラウン」をはじめとした、かつての日本の高級車の趣きを色濃く残す、仕立ても装備も豪華絢爛なインテリアが特徴だ。我が国にはそういう空間を求める人が多いからこそ、このビッグミニバン兄弟は売れているのだろう。

しかし、そういう趣向を好まない人も、確実にいる。外観についても、押し出しが強くきらびやかなグリルは“ノーサンキュー”というユーザーもいるはずだ。
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