「便をスキャンして健康習慣」TOTOの最新トイレに熱視線!約1000のデータ集め「会議室に便の写真を1枚1枚貼り付けて…」苦節4年、衝撃の開発秘話
さらにアプリ開発やトイレへのセンサー実装期間なども含めると、商品化に至るまでに要した期間は約4年。文字通り社員が体を張り、地道に歩みを進めた。
(※)イギリスのブリストル大学で1997年に開発された、便の状態を表す世界的な基準
商品化に至るまでの苦労は、指標作りだけではない。大正時代よりトイレのパイオニアとして第一線を駆け抜けてきた同社だが、ハードウェアの開発技術には長けていても、ソフトウェア開発に関してはまだ歴史が浅い。

「アプリ開発自体は経験があるのですが、トイレで計測したデータと連動させるアプリを生み出すのは創立以来初の試みでした。本商品はハードとソフトが対にならなければ成り立たないので、双方の開発スピードの足並みを揃えなければならない点にも苦戦しましたね」
IoTへの取り組みに難航するだけでなく、アプリ開発では薬機法(※)の壁にもぶつかったという。
「本商品は医療機器ではないので、“健康になりますよ”“便秘が解消しますよ”などの謳い方は法律上できません。もし便状態が明らかに良くなかったとしても、直接的に治療に結びつくような表現はできないんです。しかし、リコメンドの内容が薄いとそれはお客様の健康の気づきにはなりません。限られた範囲内で最大の価値を提供するため、リコメンドは非常に丁寧に作り込みました」
(※)医薬品や化粧品の効果や安全性を消費者に正しく伝えるための法律
TOTOが目指す次世代の健康トイレ
「凄まじい勢いでアップデートを続ける他社のコミュニケーションアプリのようなスピード感には、まだまだ弊社のアプリ開発は追いついていないのが実情です。しかし、だからといってそこを諦めようとは思っていません。関係各所と連携し、お客様のご要望もクレームも真摯に受け止め反映させながら、ソフトウェア競争力を高めていきたい」
同社が改善を図るのは、もちろんソフト面だけではないようだ。
「便スキャンセンサーに関しても進化の余地はたくさんあります。便のにおいや尿の状態など、便座に座っている時間を通して収集できるデータはまだまだ溢れていますから。本商品は“健康に寄り添う”という新たな価値提供の皮切りであって、ゴールではないんです」
進化し続ける次世代トイレ。同社が推進する“健康×トイレ”の試みは、消費者の心をつかめるか。
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