「便をスキャンして健康習慣」TOTOの最新トイレに熱視線!約1000のデータ集め「会議室に便の写真を1枚1枚貼り付けて…」苦節4年、衝撃の開発秘話

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便スキャンセンサーで収集した情報は、TOTOが独自に編み出した分類方法に基づき細かくカテゴライズされる。便の形(硬さ)は7タイプ、便の量と色はそれぞれ3タイプに分けられるそうだ。

便の情報は、TOTOが独自に編み出した分類方法に基づきカテゴライズされる(画像:TOTO提供)
便の情報は、TOTOが独自に編み出した分類方法に基づきカテゴライズされる(画像:TOTO提供)

「当初はそもそも便を分類するための指標がなかったので、とにかく大量の便データを撮り溜める必要がありました」

苦節2年半、トータル4年。1000の便データと対峙

本商品の開発プロジェクトを取りまとめた川田賢志氏(写真:筆者提供)
開発プロジェクトを取りまとめた川田賢志氏が、当時の苦労を語ってくれた(写真:筆者撮影)

本商品の開発プロジェクトを取りまとめた川田賢志氏(ウォシュレット開発第二部 ウェルネス・通信商品開発グループ グループリーダー 以下発言は同氏)が、当時の苦労を語ってくれた。

「便の識別方法は『ブリストル便性状スケール(※)』を参考にして、本商品でも便を7タイプに分類することにしました。しかし、これは大まかな見た目上の指標であって数値化はされていません。これを数値に落とし込む作業が、本当に大変で……」

世の中にない品質基準の構築。聞くだけで気の遠くなるような行為だが、いったいどのように進めていったのだろうか。

「まずは社員やその家族、フィールドテストを通して、1000近い便データを収集しました。会議室の壁に大量の便の写真を1枚1枚貼り付けて、便の大きさをmm単位で比較検討して。7タイプの境界にグレーゾーンを残してはいけないので、とにかく情報をすべて数値化しました。非常に地道な作業です」

模擬便(写真:筆者撮影)
テスト機で使用する模擬便も同社独自開発。タイプごとに形状が異なる(写真:筆者撮影)

会議室の壁一面に貼られた大量の便の写真と向き合う日々は、年単位で続いたそうだ。

「7タイプすべてのサンプルを集めるのも一苦労でした。特にタイプ1と7は、そう簡単には集まらない。開発に関わる社員が独自で前日の食事を調整するなどして、どうにかコンプリートしました。私なんかは脂っこい豚骨ラーメンを食べるとお腹が緩くなるので、夕食にラーメンを食べて翌日に備えたこともありましたね」

同社では、新型トイレの開発におよそ2~3年の期間を要するという。しかし、本商品に関してはこの指標を構築するだけで2年半かかったそうだ。

次ページ商品化に至るまでに要した期間は約4年
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