いよいよ最終日を迎える大阪万博。完全予約制の高いハードルが出足を鈍らせるも会期中に改善、パビリオン側も独自の工夫を重ねた結果
違いを生み出すのはサービスデザインの視点
最後により多くの人が来場できるパビリオンとはどういうものだったのか。まずものを言うのはパビリオンの広さだ。延べ面積約8000平米と広く展示の多い大阪ヘルスケアパビリオンは早々と9月6日に来場者400万人を達成。10月2日には500万人を達成した。
それと比べると一回り小さい5400平米ながらフランス館や、1フロア構成でさらに小さい2100平米のアラブ首長国連合(UAE館)のパビリオンも20日遅れで9月26日に来場者400万人を達成している。1日平均2万8000人が訪れ、万博に来る5人に1人がフランス館とUAE館を訪れていることになる。

常にどのパビリオンも行列なのに、どうしてこのような違いが生まれるのか。
「シアター型」「自由回遊型」「混合型」
万博のパビリオンには中に入ってから出るまでの体験すべての時間が決まっている「シアター型」もの(null²、いのちの未来館、住友館、パナソニック館など)もあれば、中に入ったら後は自由に自分のタイミングで回れる自由回遊型(日本館、スペイン館など)と、最初にイントロ映像があったり、コーナーごとに時間の決まったプログラムを用意している混合型がある(イタリア館やBlue Ocean Domeなど)。
自由回遊型は各々が自分のペースで回れ、混んでいるのが嫌な人やスタンプなど訪問実績作りを重視する人たちが速いペースで回ってくれるため列の進みが速い。
しかし、冒頭にイントロ映像があると、その上映時間や、一度に見られる人数によって行列の進み方が大きく変わる。列が短いからと並んだある国のパビリオンでは5分ほどのイントロ映像の部屋に案内されるのが1度に15人未満で短い列なのに進みが異様に遅かった。
自由回遊型のパビリオンの中には、説明員を置かず、展示内容についてパネルで文字を読ませる形式のものも多いが、こうした情報詰め込み型の展示は思ったほど印象に残らない。
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