「ネットの口コミ」を安易に鵜呑みにしている人が、気づかないうちにハマっている"3つのトラップ"
逆に、その点がデメリットにもなります。
多くの場合、発信者は匿名のまま情報を発します。内容に関して、責任を問われることは、ほとんどありません。したがって、ネット・クチコミの内容には虚偽や、不確実な情報が含まれる可能性もあるのです。
このような功罪はあるものの、ネット・クチコミは利便性や多様性があり、今では大きな影響力を持っています。
買い物においては情報収集が不可欠なので、ネット・クチコミの情報が役立ちます。しかし、時にはその情報によって行動が歪められることがあります。情報を受け取る側の心理にバイアスがかかるためです。
その1つは「ウィンザー効果」の影響です。ウィンザー効果は、アーリーン・ロマノネスの小説『伯爵夫人はスパイ』(講談社)に登場するウィンザー伯爵夫人のセリフ、「第三者のほめ言葉が、どんなときにも一番効果があるのよ」に由来するといわれています。
これは、本人から直接発信される情報よりも、直接的な利害関係のない第三者から、間接的に伝わる情報の信頼性を高く感じる心理的傾向です。たとえば、施設や商品の情報であれば、当事者である運営者やメーカーからよりも、利害関係がないとされる利用者からのクチコミのほうが信頼されます。
この心理によって、単に第三者からの情報だからというだけで、その発信者の素性がわからなくても、その内容を信じてしまう可能性があります。場合によっては、じつは発信者が、その商品を提供する関係者であったというケースもあります。いわゆる「サクラ」です。
逆に、第三者を装った、ライバル商品の提供者だということもあります。巧妙に商品を中傷するクチコミを見て、本来は買うべき良品なのに購入をためらってしまう可能性もあるのです。
「著名人」の発信を鵜呑みにしてはいけない
ウィンザー効果は、情報の発信者が「第三者」であることによる心理的バイアスですが、発信者が「著名人や専門家」である場合にも心理的バイアスが生まれます。これは「ハロー効果」といわれます。
ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象です。
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