武田に戻ってきた追徴課税500億円、海外進出増加で移転価格課税リスクが急拡大

たとえば日本の親会社が製造した製品を米国の子会社が販売、総額で100億円の利益を上げたとしよう。会社側が利益配分の比率を親会社6割、子会社4割と決めたら、その配分に見合う税金、つまり日本の本社は60億円の利益に見合う税金を日本で納税し、米国の子会社は40億円の利益に見合う税金を米国で納税する。

ところが、日本の税務当局が「その配分はおかしい、日本本社の利益は8割であるのが適当だ」と判断したら、親会社は60億円との差額20億円の利益に対する税金を追徴される。だが、米国子会社で納めた40億円の利益に対する税金はそのまま。したがって、会社側にとっては、20億円の利益に対する税金を日米で二重取りされた状態になる。

そこで、日本の課税当局に、米国の課税当局と交渉してもらい、米国で納税済みの税金を返してもらうことで、二重取りを解消しようという手続きが相互協議である。逆に、子会社側の利益配分が少なすぎるとして、海外の課税当局から子会社が追徴された場合も、相互協議の申請をすることができる。

相互協議は外交交渉なので、納税者が交渉の場に出ていくことはないが、交渉に必要な資料は提供しなければならない。日本での追徴課税に不服でも、相手国から還付を受けられれば、納税者としては二重課税は解消できるので、日本の課税当局が交渉を有利に運べるような資料をそろえることもある。逆に相手国に自らの主張の合理性を理解させることで、日本の課税当局を相手国側から説得してもらう戦略をとることもある。いずれにしても、相互協議においては、日本、相手国双方の税制を熟知したうえで、相手国の課税当局を説得できる力量を必要とする。

このため、移転価格税制関連のサポート業務は、国際的なネットワークを持つ、世界4大会計事務所、いわゆるビッグ4と呼ばれる、アーンスト アンド ヤング(E&Y)、KPMG、デロイト・トウシュ・トーマツ、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)系の税理士法人の独壇場だ。

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