詳しくは前編に書いたが、地元のテナントが出店し、外部には段丘状のテラスや湘南ヴィレッジなど、湘南らしい広い空や風が感じられる空間が設けられている。外観や内観のあらゆる箇所に気が配られ、"湘南らしさ"が醸成されている。



「テラスモール湘南」の環境デザインに携わった船場の元社長・栗山浩一氏の著書に、開発時の背景が綴られている。
「ディベロッパーの中心人物の1人、住友商事株式会社の東野進氏は、ご自身が地元湘南の住民であり、そのライフスタイルの体現者でもあることから、小さなベンチの選定1つとっても、常に『湘南とは?』という問いかけを行っていらっしゃいました。」
「共用部に通常より多く配置したファニチャーは、(中略)実際に古民家の解体材を使用するなど本物の素材にこだわったことで、狙い通りの豊かな質感と心地よさを実現しています。」(栗山浩一著『成功するSCを考えるひとたち』/ダイヤモンド社)
細部にまでとことんこだわったからこそ、「テラスモール湘南」は、"湘南らしい"商業施設になった。
2011年11月11日11時にグランドオープンを迎え、初年度の売上は当初目標400億円を大幅に上回る約509億円を達成。来館者数も、目標の2000万人を大きく上回る2370万人であった。
設定商圏外である東京・横浜エリアからの来館者が3割を占めるなど、広域から人々を集めている。
2024年度には、過去最高売上を達成した。湘南らしいこの商業施設は、多くの人々から支持され続けている。
これからも盛り上がる「湘南」
湘南の街は、鉄道開通による東京・横浜の別荘地や観光地としての発展、海を生かした街づくりなどによって、"湘南らしさ"を確立してきた。
「テラスモール湘南」は、デベロッパーである住友商事が"湘南らしさ"と向き合ったことで、地元の人々が湘南を誇り、来訪客が湘南を楽しむ施設になっている。
「テラスモール湘南」のある藤沢市は、2024年に観光客数が2000万人を超え、過去最高を達成。人口も右肩上がりで、まだまだ盛り上がりが期待できる街である。
湘南は、これからも多くの人々に愛され続けるだろう。
写真集図説集刊行会編『図説ふじさわの歴史』(藤沢市)
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