ウォルマートの価値は、アマゾン以下なのか 株式時価総額でついに逆転

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しかも、eコマースに利用されるデバイスは、デスクトップからモバイルへと急速にシフトしており、若年層でその傾向は顕著だ。さらには、Amazonは2014年に一部地域で生鮮食品の配達も開始し、ウォルマートの牙城に入り込んできた。

ウォルマートは、脆弱なeコマース事業へのテコ入れを迫られている。

実店舗でオンライン注文商品を渡す

「ニューヨーク・タイムズ」によると、ウォルマートは今後2年間で20億ドルをeコマース事業に投資することを明らかにした。テクノロジー開発を担う「ウォルマート研究室」(シリコンバレー)には、エンジニア2200人が常駐。クラウドデータセンターもある。

同研究室が進めるのは、実店舗、オンライン店舗での流通販売経路を統合管理し、最終的にUXを向上させること。「私たちの顧客はモバイルやデスクトップ、店舗の3地点で買い物をしている」と、ウォルマートのグローバルeコマース部門の広報担当バオ・グエン氏は、分析する。「私たちの焦点は、いかに実店舗とデジタルなエクスペリエンスをつなぎ合わせ、顧客との関係を確かにすることだ」。

グエン氏によると、ウォルマートの顧客は実際に店舗に行く前に、オンラインで商品のリサーチをしている。これはAmazonユーザーの行動とはだいぶ異なっている。「ターゲットはウォルマートをよく知り、低価格だと信じている人たちだ。Webサイトのデザインは、ユーザーがリラックスして利用できるよう、簡潔さに細心の注意を払っているとわかる」と、デザイン・コンサルティング企業ファンタジー・インタラクティブ(Fantasy Interactive)でUX担当を務めるヴィラ・イングリエニー氏は、話した。

そのため、実店舗(米国内に約5200店舗)は欠かせない。Amazonの1日限定セールイベント「プライムデー」に対抗して、ウォルマートが2015年7月15日にセールを行った際、実店舗で商品をピックアップする機能「My Sotre」を通じた注文数が300%も上昇した。

デジタルエージェンシーのヒュージ(Huge)で、UXのディレクターを務めるトッド・リフェル氏は、オンラインで買い物を行うプロセスのなかで、店舗での商品受け取りに改善の余地があると言う。「実店舗がウォルマートの競争優位性だから、支払い行程のすべてで『My Sotre』機能をより強調させた方が良いだろう」と、リフェル氏は話した。

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