社交ダンスで楽しい人生を

経営評論家・金児昭氏③

かねこ・あきら 1936年生まれ。61年、東京大学卒、信越化学工業入社。99年に常務で退任するまで38年間、経理・財務の実務一筋。公認会計士試験委員、金融監督庁(現金融庁)顧問を歴任。経済・金融・経営評論家、作家、信越化学工業顧問、日本CFO協会最高顧問など。

53歳のとき、欧州出張で当時の小田切新太郎社長に、「60歳で会社を辞めたい」と話した。そうしたら、「こんなすばらしいことはない。ぜひ辞めたまえ」と。少しは「辞めないでくれ」と言ってくれるかと期待していたのだが(笑)。

その代わり、「不安がるから辞めることは奥さんや子供には言わずに、会社を辞めるときまで今の給与で過ごすつもりでいなさい。いったん生活水準を上げると元に戻らなくなるから」とのアドバイスをいただいた。そのアドバイスを守っていたら60歳前に住宅ローンを返し終えた。

その頃家内から、「あなたはワーカホリックだから社交ダンスでもやったらどうか」と勧められた。市民報に社交ダンス講座の案内が出ていた。10回1500円と格安。それから社交ダンスを始めた。

先進国でダンスをやらないのは日本だけ

1976年、米・シンテック社のM&Aで米国に出張したときに、公民館で行われたシ社の仮装ダンスパーティに参加した。そこでブルースを踊ったのが私の初ダンス。このときの体験がなければ、家内に勧められてもやらなかった。53歳から週2回先生に習い、そのほかにダンスパーティに行ったりして、1年間でそれなりに踊れるようになった。

その後は海外出張で踊ることもあった。米国では高校や大学でダンスパーティがあるほどダンスは一般的。レストランの片隅に踊る場所があることも珍しくない。日本では軟弱だと見られるが、先進国でダンスをやらないのは日本だけです。

 60歳を迎えたときに、還暦を誰も祝ってくれないので、自分で祝っちゃおうとダンスの本を書いた。2007年に2冊目を書いて、今年、75歳で3冊目になるブルースのステップの本を出した。

太平洋戦争が終わったのは私が9歳のとき。今は不景気で今後も生活水準は下がりそうだけど、戦時中や戦後に比べたら何てことない。餓死することもない。ただ、一つの会社に一生勤めようと思っても、会社があるかどうかわからない。年金も当てにならない。おカネなしでも楽しむことが大事になる。これからの人はもっと長生きだから、趣味はもっともっとあったほうがいい。頭を使う趣味と体を使う趣味の両方が必要で、体を使う趣味では社交ダンスが圧倒的にお勧めだ。

人間の本能の一番は食欲だけど、音楽も本能、踊りも本能。世界のどこに行っても音楽と踊りはある。男女の仲も本能。大っぴらに男性と女性が踊れるわけだから、楽しくないわけはないよね。

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