TCL華星は2014年に印刷方式OLEDの研究開発に着手し、2020年には総額300億円を投じてJOLEDと資本業務提携契約を結んだ。さらにTCL華星は、JOLEDの経営破綻後にその生産設備を買い取り、湖北省武漢市に第5.5世代の印刷方式OLEDパネルの生産ラインを自社単独で建設した。

「この第5.5世代ラインの立ち上げと量産を通じて、(TCL華星は)印刷方式OLEDの製品開発、生産技術および品質管理、(原材料などの)サプライチェーン構築などに関する豊富な経験を積んだ。今回の第8.6世代生産ラインの建設は、それらの経験が礎になっている」。TCL科技集団は、9月12日付の声明の中でそう述べた。
真価が試されるのはこれから
新生産ラインの計画生産能力は月間約2万2500枚、建設期間は24カ月を予定している。完成後は主にタブレット、ノートパソコン、モニターなどに搭載する(中型の)OLEDパネルを量産する予定だ。
中国のライバルのBOEは2023年11月、四川省成都市に(蒸着方式による)第8.6世代のOLEDパネル生産ラインを建設すると発表し、2026年に稼働させる計画だ。韓国のサムスンディスプレイも第8.6世代OLEDパネルの生産準備を進めており、2026年の量産開始を見込んでいる。

「これら次世代の生産ラインが順次稼働するにつれて、OLEDパネルの市場価格は低下していき、IT機器への搭載拡大が加速するだろう」。中国の市場調査会社の群智信息技術諮詢(シグマインテル)はそう予想する。
その過程で、TCL華星はコスト競争力を武器にライバルから市場シェアを奪うことができるか、印刷方式の真価が試されるのはこれからだ。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月13日
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