他人から好かれる「人間性」を身につけるには? 誰でもできる"極めて重要な行動"を哲学研究者が伝授
さて、ここで考えたいのは、こうした人間性はいったいどのようにして生み出されるのかという点です。私たちは生まれたときから、まるで血液型のように人間性が割り振られているのでしょうか? そうではありません。生まれたときから人間性が決まっているのではなく、「その人がどんな経験をしてきたか」や、それに伴う思考活動によって人間性が定まってきます。
もちろん、生まれたときからある程度の「傾向性」はあるでしょう。例えば、まだほとんど経験のない幼児の頃から、「活発な性格」、「少し引っ込み思案な性格」といった大まかな特徴は見られると思います。
ですが、そうした原初的な性格がそのまま人間性になるわけではありません。人間性は、あくまで自己や世界をどのように理解し、それをいかに言葉にもたらすかという点に関わるものなのです。そしてそうした人間性は、その人が生み出された社会の中で、そしてその人が社会へと巻き込まれる一人称的経験や思考活動を通して育まれます。
しかし、自分一人が体験できる経験(=一人称的経験)には限度があります。1日は24時間しかありません。その限られた時間数の中で自分ができる経験の量には、どうしても限界があります。
自分の人間性を養うために必要な行動
そのようなとき、極めて重要になってくるのが、他者の一人称的経験を共有してもらうということです。自分一人では決して経験しえなかったようなことを語り伝えてもらうことで、その出来事を追体験するのです。
もちろん、自分の一人称的経験を相手に伝達することも大切です。自分の経験は、何らかの意味で相手にとっても資するものになりうるからです。大切なことは、一人称的経験をお互いにシェアすることであると言えるでしょう。経験のシェア。それを果たすことができるのが、まさに「対話」というアクティビティに他なりません。
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