【キーマンズ・インタビュー】アステラス製薬のグローバル人材戦略--中島与志明・アステラス製薬執行役員人事部長に聞く

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--大型合併では、トップ人事がたすき掛けになり、異なった制度が併存するキメラのようになることが多いように思います。アステラス製薬では制度を一本化したのでしょうか?

合併の最大の目的は、世界市場で存在感のある会社を短期間で創ることにあった。そのため、一刻も早く強固で、求心力のある企業体質をつくることが必要になる。様々な分野での早い統合が志向され、人事制度も完全統合を強く意識した。たとえば2社の報酬制度を半年後に職務給に一本化した。年金は組合との話し合いがあるので少し遅れたが、1年以内で統合した。幹部人事も、統合前に両社TOPによる人事会議を頻繁に開催し、そのプロセスを公開しながら、人物本位による公正で透明性のある人事を決めた。

経営トップについては、合併前の両社長が合併後の会長と社長を務めたが、数年後に勇退している。現在のアステラス製薬の執行役員は、すべてアステラス製薬で任用された者であり、山之内製薬、藤沢薬品工業の頃からの執行役員はいない。

合併がスムースに進んだもう一つの理由は、両社の社風が似ていたからだろう。進取の精神、自由闊達、成果にこだわる、という文化が共通していた。

--アステラス製薬のグローバル化はいつ頃始まったのでしょうか?

本格的なグローバル化は、山之内製薬、藤沢薬品工業ともに1990年代初頭からだ。ただ合併前は研究開発、製薬化、販売のすべてを自社で行う体力はなく、現地企業との提携、協力で事業展開していた。山之内はヨーロッパに強く、藤沢はアメリカに強かったので、合併は地勢的に相乗効果を期待することができた。

両社とも、1社単独ではグローバル展開を短期間に自前で行えない。だから合併し、時間を買ったともいえる。合併したアステラス製薬は、自社の力でグローバル展開できる規模(Minimum Critical Mass)を獲得したのだ。

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