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ついに始まったトランプ政権の言論支配 「自主規制」で屈服するメディアのジレンマ

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  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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ただし、今回のABCの事情は、買収成立をさせて自分が儲け、さっさと片付けたいというレッドストーンの思いから来たCBS/パラマウントとはまた違う。

キンメルの発言とカーのポッドキャスト出演の後、ABCの番組を放映する多数の地方局をもつネクスター・メディア・グループとシンクレア・ブロードキャスト・グループは、「Jimmy Kimmel Live!」の放映を無期限で取りやめると発表した。

カーは、出演したポッドキャストで、ABCの番組を放映する地方局に、ディズニーに対して「キンメルの番組は放映しないと言え」と奨励したのだ。ネクスターは現在、他社を買収しようとしており、そのためにはFCCの承認が必要だという事情がある。アメリカの多くの市場で一気に放映されなくなれば、ABCに対して広告主から不満が出るのは必至。ディズニーとしては、やむにやまれなかったのかもしれない。

報道によれば、ディズニーは「Jimmy Kimmel Live!」を打ち切るつもりはなく、嵐が過ぎ去るのを待っているとのこと。しかし、騒ぎが一段落したとしても、今後、キンメルがこれまでのようにトランプを含む政治的なネタを自由に扱うことはできるのだろうか。

トランプを怒らせるようなことを言わないと約束させられるのであれば、それは紛れもなく自主規制である。だが、そうでないならこの番組を放映しないという態度を、地方局の所有会社は変えないかもしれない。

政治風刺もできない状況に?

それはディズニーだけでなく、ほかのメディアにとってもジレンマであり、脅威だ。現にトランプは別件で昨年ABCを訴訟したし、つい数日前には「ニューヨーク・タイムズ」を訴えている。トランプのパロディで笑いを取ってきたNBCの「Saturday Night Live」も、新シーズン開始を前にして頭を抱えているのではないだろうか。

政治、政治家についての風刺やブラックなジョーク、あるいはシリアスな批判は、アメリカのカルチャーの中にずっと存在してきた。トランプが大統領選に出馬してからより過熱したのはたしかながら、その前にも「Saturday Night Live」ではウィル・フェレルがジョージ・W・ブッシュを、ティナ・フェイがサラ・ペイリン、フィル・ハートマンがビル・クリントンを演じて大ウケした。

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