ついに始まったトランプ政権の言論支配 「自主規制」で屈服するメディアのジレンマ

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経営事情が火の車で製作会社スカイダンス・メディアによる買収を成立させたいと必死になっていたパラマウント・グローバルのトップ、シャリ・レッドストーンは、前出のFCC会長カーの承認を得るために、トランプが仕掛けてきた言いがかりのような訴訟を、金を払うことでさっさと終わらせた。

それを受けて、以前からトランプ批判をしていたコルベアは、いわば自分の雇い主でもあるCBS/パラマウントが「トランプに賄賂を払った」と発言し、CBSはクビを決めたというわけだ。

そのニュースを聞いたトランプは、「コルベアがクビになってとても嬉しい。彼の才能は彼の視聴率より低い。次はジミー・キンメルだろう。彼はコルベアよりもっと才能がない」とソーシャルメディアに投稿している。CBSの決断がトランプを喜ばせたのは明白である。

数日後、FCCはスカイダンスによるパラマウントの買収を承認。業界はこの展開に怒り、現地時間今月14日(日)開催のプライムタイム・エミー賞ではコルベアに勝たせようという雰囲気が一気に高まった。同じトーク番組部門に候補入りしていたキンメルも、ロサンゼルスのど真ん中に「私はスティーブンに投票します」という看板広告まで出して、ライバルの受賞を後押しする。キンメルはコルベアのために最も大きな声を上げた業界人のひとりだった。

みんなの願い通りに受賞したコルベアは、会場から満場の拍手をもって祝福された。2日後、彼は、自身の番組内で「トランプはこれを受賞したことがありませんね」とトランプを揶揄している。

自主規制はもう終わりと思われた矢先に…

これで「ほら自主規制をするとこんなことになるんだよ、こんなことはこれで終わりだ」と多くの人が思ったことだろう。

しかし、今度は別のメジャーネットワークのABCが自主規制でキンメルのトーク番組を中止した。トランプに媚びて自主規制を行ったCBSに対し、痛快な平手打ちをくらわせてやったと思った矢先に起きたこの出来事は、タイミングとしても衝撃的だった。

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