「EF58形」長距離列車を牽引した電気機関車の軌跡 ブルトレから荷物列車まで、昭和の電化幹線を席巻
また、長野―大阪間を結んでいた急行「ちくま」の昼行臨時列車で、12系客車12両編成による「ちくま51号」は、名古屋まで中央本線内はEF64形の牽引だったが、その先の東海道本線内はEF58形の重連が牽引していた。これは勾配区間である関ケ原越えの際に速度の低下を抑えるためだ。
「ちくま51号」は大垣を発車するとグングン加速し、新垂井経由の分岐あたりではEF58形の最高速度に達するほどの速度で猛進する。夕闇迫る時間でカラー撮影は叶わず、白黒撮影だったがその圧倒的な速度による迫力はすさまじいもので、翌日の夕方にも関ケ原のサミット付近で待ち構え重連の雄姿を狙った。

幻の?「オリエント急行」ヘッドマーク
最後に、EF58形にとっては晴れ舞台でありつつ、ファンにはやや残念な結果になった出来事にも触れておきたい。
1988年に来日した「オリエント急行」の日本国内ラストラン時の本務機はお召列車指定機であるEF58形の61号機だったが、この際、JR東日本初の復元SLであるD51形498号機が前補機を務めることになった。つまり、61号機の前に連結されたのである。SLファンにはまたとない光景で、ヘッドマークを付けたD51形は大きな話題になったが、本務機の61号機もヘッドマークを付けていながらもその姿はD51形に隠れて見えず、どちらのファンも悲喜こもごもの運転だった。


61号機は現在、鉄道博物館に保存され、時々ヘッドマークを取り換えて話題になっているが「オリエント急行」のヘッドマークを取り付けた時が一番好評だったという。鉄道博物館では来館者の要望も取り入れてヘッドマークを取り付けているが、ファンの方はリクエストしてみてはいかがであろうか。

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