「EF58形」長距離列車を牽引した電気機関車の軌跡 ブルトレから荷物列車まで、昭和の電化幹線を席巻

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EF58 60
東海道本線近江長岡―柏原間を走る「お召列車」指定機、EF58形60号機牽引の荷物列車=1976年12月(撮影:南正時)

国鉄電気機関車の名機として今も人気が高いEF58形は、半流線形のスマートなボディと高速性能で戦後の電化幹線を席巻した。とくに長距離急行列車の先頭に立つ姿はいまでも筆者の目とフィルムに焼き付いている。

1956年に東海道本線が全線電化され、EF58形はさまざまな優等列車の牽引に活躍した。当時の花形特急「つばめ」「はと」や、初のブルートレイン「あさかぜ」の登場時の牽引機もEF58形だった。その後も東海道・山陽本線や上越線、東北本線の急行や夜行など、国鉄時代の各地の幹線を走り続けた。

今回は、そんなEF58形の軌跡を振り返りたい。

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EF58形の「登場秘話」

花形の旅客用電気機関車として活躍したEF58形だが、スマートな半流線形のボディで知られるようになるまでは紆余曲折があった。

EF58形は戦後初の本格的旅客用電気機関車として、終戦直後の1946年から製造された。貨物用機関車のEF15形と同時期に設計・製造され、初期型の1号機~31号機は、その後のEF58形のイメージとは全く異なるデッキ付きの箱型車体で、終戦直後という登場時期もあって粗悪な部分も多い機関車だった。

【写真】急行「銀河」をはじめ「津軽」「金星」「ちくま」など往年の長距離優等列車や長編成の荷物列車の先頭に立って活躍するEF58形の勇姿。お召し列車指定機の60号機や61号機、そして半流線形ボディになる前のデッキ付き車体の貴重な写真も

現在、EF58形としてイメージされる半流線形車体の改良型は1952年に登場。初期型も車体を載せ替え、最終的に全172両が製造された。だが、ラストナンバーは175号機で、32~34号機は欠番である。ここにはある種の「悲哀」が隠れている。

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