《ミドルのための実践的戦略思考》クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ-技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』で読み解く 法人向け英会話スクールの営業担当・安田の悩み

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もちろん、「顧客接点の現場にちゃんと連れて行っている」という方も多いでしょう。しかし、ここで考えるべきは、その「現場」がどういう場なのか、ということです。

つまり、多くの場合、トップが行く顧客接点の現場は、いわゆる限られたリードクライアントとの重要な商談の場面などになります。もちろんそういう場はトップ営業として非常に重要なのですが、そういうリードクライアントとの接点だけしか見ていないトップは、それだけをもって「顧客接点」と捉えてしまう可能性があります。この状況はむしろ「過剰満足」を加速させる要因になりかねません。

そうではなく、むしろ連れていくべき現場は、そのようなリードクライアントではない「その他大多数の顧客」(=取り扱い金額が少ない顧客や新規顧客、もしくは何らかの不満を持っている顧客)との接点の場なのです。

そういう現場で、顧客が自社のサービスや商品を見て何を語っているのか、どのような不満やリクエストを出しているのか。そのリアルな状況をトップに理解してもらうこと。これを日頃から実践することが、「ジレンマ」を阻止するためのミドルからのアプローチの一つとなるのではないでしょうか。

■参考文献:
※この理論をよく理解するためには、以下の書籍を読まれることをお勧めします。

『イノベーションのジレンマ-技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』 翔泳社
世の中にこの理論を投げかけ、多くのリーダーに影響を与えた書籍です。まずはこちらから読まれることをお勧めします。

『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』 翔泳社
上記『イノベーションのジレンマ』は有名ですが、『イノベーションの解』は読まれた方は意外に少ないと思います。しかし、この書籍は個人的には『イノベーションのジレンマ』より分かりやすく、かつ実践的だと思っています。破壊される側ではなく破壊者となった立場で書かれた書籍でもありますので、理論を正しく理解するためにも欠かせない本です。

『イノベーションへの解 実践編』 翔泳社
タイトルの「実践編」の通り、様々な企業事例からより実践的な解決策、ワークシートやFAQなどが書かれている手引書です。


《プロフィール》
荒木博行(あらき・ひろゆき)
慶応大学法学部卒業。スイスIMD BOTプログラム修了。住友商事(株)を経て、グロービスに入社。グロービスでは、企業向けのコンサルティング、及びマネジャーとして組織を統括する役目を担う。その後、グロービス経営研究所にて、講師のマネジメントや経営教育に関するコンテンツ作成を行う。現在は、グロービス経営大学院におけるカリキュラム全般の統括をするとともに、戦略ファカルティ・グループにおいて、経営戦略領域におけるリサーチやケース作成などを行う。講師としては、大学院や企業内研修において、経営戦略領域を中心に担当するとともに、クリティカル・ シンキング、ビジネス・ファシリテーションなどの思考系科目なども幅広く担当する。
Twitter:http://twitter.com/#!/hiroyuki_araki
Facebook:http://www.facebook.com/?ref=home#!/hiroyuki.araki



◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2011年10月25日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。

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