男性の【時短勤務】経験者は6.8%という現実も…「女性活躍」の陰で女性が抱える"見えづらい本音"
女性社員の配偶者や、配偶者の職場にそのようなバイアス(性別役割意識)があると、女性社員が家庭のために多くの時間を費やす状況はなかなか変えられません。
女性社員は家庭に割く時間確保のため、育児短時間勤務を利用することも多いでしょう。しかし、短時間勤務を利用すれば両立が簡単だというわけではありません。業務内容の見える化や平準化が進んでいない職場では、育児短時間勤務者が出ても、現場の業務量を見直さないことがしばしばあります。
また、代替要員を検討せずに同僚に負担させ「お互いさま」と納得させようとするケースもあります。そういった状況が、体力的にも心理的にも女性社員を追い詰めることがあります。
2023年の国民生活基礎調査によると、単身世帯が全世帯の34.0%と、18歳未満の未婚の子がいる世帯18.1%よりも多くなっており、上司や同僚が育児と仕事の両立を理解してくれるとは限らず、「育児=能力低下」と評価される可能性もあります。
それを避け、結局本人が業務の遅れを取り戻そうと残業をするケースも見られます。本来、自由に労働時間を決められる管理職においても、同僚に配慮するあまり、自分の給与を下げてほしいと会社に訴える事例もあります。それほど短時間で働くことに気を遣わざるを得ない状況なのです。
若い世代ほど「昇進意欲」は高い
前述のアンコンシャス・バイアスに関する研究調査によると、男女ともに3割が「育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない」という意識を持っていると回答しています。
そのような職場での性別役割意識から、従来の仕事を変更・縮小されてしまうこともあります。育児中だからと重要な仕事を任されず、経験が積めなければ、将来の昇進も閉ざされてしまいます。
このように、出産や育児を機にキャリアが停滞してしまい、女性が思うように活躍できないことは「マミートラック」と呼ばれ、将来のキャリア展望に不安を抱く女性社員は少なくありません。
女性社員が会社の体制に期待を持てずに、キャリアを諦めているケースも少なくありません。そのような状態で、管理職への打診をしても、本心からの前向きな回答は期待できないでしょう。
そのため、面談などで、女性社員が「私はいまの働き方でよい」と回答をしても、それが本人の価値観で昇進意欲がないのか、職場環境が原因なのか、個別の事情を聴いて判断する必要があります。