任天堂のスマホゲームは"ガッカリ"なのか 株式市場が厳しい反応を見せた理由とは?

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2点目は、待望の第1弾が任天堂のキャラクター「Mii」を使ったスマホゲームだったことにある。Miiとは任天堂の家庭用ゲーム機で使用できるアバターキャラクターであり、自分や家族、友達に似せて作ることができる。このMiiをスマホ上で作成し、友達と交流しながら遊ぶことができるMiitomoはコミュニケーションアプリの位置づけだが、君島社長は「(投入を予定している)5本程度のスマホゲームに含まれている」と話した。

ミートモの画面。メッセージアプリ「LINE」のように、友達と交流しながら遊ぶことができる

Miitomoのリリースに合わせて、新たな会員サービス「マイニンテンドー」も開始する。家庭用ゲーム機とスマホ双方に対応したポイントプログラムも導入する方針で、ゲームソフトの購入のみならず、ゲームを遊ぶだけでもポイントが付与される仕組みを考えている。スマホアプリを会員サービスやポイントプログラムと紐付けることで、一気にユーザーアカウントの獲得を進める狙いだ。

しかし、周囲が期待していたのは、任天堂を代表する人気キャラクター「マリオ」シリーズのスマホゲームだった。任天堂がスマホアプリに参入すると発表して株価が急騰したのも、「ついにスマホでマリオのゲームが遊べる」と受け止められたからにほかならない。

待望の「マリオ」投入はあるのか?

ただし、スマホアプリ開発については「『マリオカート』のプロデューサーが担当し、家庭用ゲームソフトのメンバーが中心になっている」(宮本茂専務)と説明されたほか、君島社長もスマホゲームの目的について「任天堂IPに触れる人口の最大化」を掲げている。スマホアプリ事業の収益化が先延ばしになった感はぬぐえないが、人気キャラクターによるスマホゲームが登場するのは間違いなさそうだ。

2016年には次世代ゲーム機「NX」の発表も控えている。ネットワーク機能を充実化させると言われており、スマホでMiiを作成したユーザーをNXへ誘導できるかが試されることになる。NXの詳細は不明だが、「ゲームソフト開発会社のNXへの期待は、WiiUの発売前よりも高い」と、あるゲーム関連会社の首脳は打ち明ける。君島社長が「NXを中核ビジネスとして成り立つよう取り組んでいる」と言うように、発売のタイミングに合わせて魅力的なゲームソフトを多数そろえる準備も着実に進めているようだ。

「ゲーム人口の拡大」を掲げる任天堂だが、今年に入ってからはスマホゲームや次世代ゲーム機の開発に加え、テーマパークに参入するなど事業多角化がめまぐるしい。「今の会社の規模でどこに人とカネを充てるかは流動的に考えており、どれが当たるかはお客さんが決めること」(宮本専務)。任天堂の本格的な復活を導くのは、どの事業になるのだろうか。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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