爆売れ「スプラトゥーン」は、ここが型破りだ <動画>「単純さ」と「深み」をどう両立するか

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家庭用ゲーム機「Wii U」向けとして、任天堂が5月に全世界で発売したソフト「スプラトゥーン」が、累計162万本以上のミリオンヒットを記録しています。今回は夏野剛氏が、そのヒットの要因を分析しました。

 

先日、任天堂社長の岩田聡さんが亡くなられましたね。本当に、ご冥福をお祈りいたします。

さてその任天堂が去る5月に発売した「スプラトゥーン」というゲーム、皆さんプレーしたことがあるでしょうか。僕ははまっているんですよね。コンソール型のゲームにこれだけはまったのは久しぶりです。

カリフォルニアで行われた”リアル色塗りイベント”も大盛り上がり(Photo by Jonathan Leibson/Getty Images for Nintendo)

特にWii Uのゲームは、どちらかというとレトロなものが多かったので、描画もちょっと子どもチューンな気がして、あまりはまるゲームがありませんでした。だけど、このスプラトゥーンはすごいですね。

いわゆるシューティングというジャンルのゲームですが、なにがすごいかというと、まず世界観がすばらしい。人を倒すんじゃなく、殺すんじゃなく、色を塗っていく陣取りゲームなのですね。

単純さを守りながら、深みを出す工夫

この記事は週刊『夏野総研』とのコラボレーションでお届けします

そして、いたって単純なルールなのに、とても奥が深く作られています。ゲームを作るうえで「単純さ」はすごく大事なのですが、一方で通常は単純にすればするほど、ゲームに深みがなくなって、痛し痒しです。

そこを、このゲームではうまく工夫しています。たとえば、色塗りのためには実にさまざまな道具がありますし、オンライン対戦の場合は世界中のユーザーがアトランダムにチームを組んで戦っていくわけですが、チームの分担みたいなものが自然に芽生えるように出来ているのです。

ほかにも、非常によくできているなと感じるのは、通常オンラインゲームの対戦ものは、途中で一人でもユーザーが離脱すると勢力が弱まって面白くなくなるところが、スプラトゥーンの場合は、4人から3人になってしまってもすごく楽しめるように作ってあると感じます。

ひとつだけ残念な点を挙げるとすれば、Wii Uのコントローラーなどを別に買ってこないと、ローカルの2人プレーが出来ないということです。

Wii Uに標準でついている細長いコントローラーだけでは出来ないので、オンライン対戦はすぐにできても、友達と2人でローカル対戦をしようとするともうひとつ買ってこなきゃいけない。そこのところは、もうちょっとフレキシビリティを高めてもらったほうが楽しめたかなと思います。

しかし、本当に上出来なゲームです。皆さんにもぜひやってみてほしいのですが、これが好調な売れ行きを示したところで岩田社長が亡くなられたというのは、本当に残念なことです。

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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