「悪徳転職エージェント」が転職者を食いモノに!「おとり広告」と「職務履歴書の改ざん」で儲ける驚くべき手口
1週間後、上司から、病院で呼び止められた。
「これ、あなたのことよね」
上司の手には、ある転職エージェントからのFAX広告が握られていた。
送信元の転職エージェントの社名に聞き覚えがなかった。しかし、「この人材を紹介できます。ぜひ採用をご検討ください」の見出しとともに並ぶ、年齢、居住エリア、取得資格、年収、経歴などの断片は、匿名にはなっていたものの、知る人が読めば、明らかに山本のことだと推測できる文面だった。
看護師は、夜勤の多さや緊急時の出勤、子育ての関係から、自宅周辺の勤務を希望することが多く、取得している資格や経験年数の情報を合わせると、容易に個人が特定されやすい世界なのだ。
よりによって、そのFAX広告を手にしたのは、普段から自分を高く評価してくれており、主任への昇格を本部に推薦してくれた上司であった。
「期待していたのに、失望したわ」
一転して、「裏切者」であるかのような周囲からの視線を圧として感じ、現在の職場に居づらい雰囲気となり、山本はいたたまれない日々を過ごすようになった。
「サインしたでしょ」情報転売で儲けるエージェント
ふたたびエージェントを訪問した山本が問いかけると、担当者はこう言った。
「どこに渡したかは言えないけど、他の業者には、わが社の登録者の個人データを提供しています。当然、個人名は消しています」
「先日の登録の際の合意書面に、『提携先に個人情報を提供する場合もある』との文言があります。あなた、そこにサインしてるじゃないの」
「へえ。そうなの。今の職場に居づらい? むしろ、今が転職のチャンスという神様からの思し召しじゃないかな」
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