農業銀行はかつては農村金融専門の金融機関であり、4大国有銀行の中では地方の農村部に突出して強い営業基盤を持つ。ここ数年、同行は「三農(農業・農村・農民)」支援に重点を置く地域密着型の金融サービスに力を入れ、業績面でライバル行をしのぐ成果を上げた。

「農村部は(融資先の規模や数などの)リソースの豊かさでは都市部に及ばないが、(金融サービスの)潜在的な成長余地がまだ大きい。都市部の市場がすでに飽和状態にある中、農業銀行には(ライバル行にはない)固有の優位性がある」
財新記者の取材に応じた銀行業界のベテラン関係者は、そう高く評価する。
地域密着型金融に伸びしろ
農業銀行が8月末に開示した2025年上半期(1~6月)の決算数字も、上述の評価を裏付けている。

県レベルの地方における同行の融資残高は6月末時点で10兆7700億元(約223兆7112億円)と、1年前より9.3%増加。融資残高全体の伸び率を2ポイント上回った。また、上半期の純利息収入は同行全体では前年同期比2.9%減少したが、県レベルの地方に限ると同0.4%増加した。
(訳注:中国の「県」は地方の行政単位の1つで、日本の「町」に近い)
もっとも、農業銀行の時価総額を中国首位に押し上げた要因には、高配当と地域密着型金融サービスを材料にした思惑買いもある。金融業界の競争が激化する中、同行が地域密着型の強みを生かし、総合的な金融サービス能力と資本効率を高められるかどうかは、さらなる検証が必要だ。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月5日
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