ピケティの「r>g」⇒「労働より投資が有利」を誤解している人に伝えたい、令和の時代は労働が大事な理由

ピケティは本当に「労働よりも投資をがんばったほうがよい」と主張しているのだろうか?(写真:ZoomTeam /PIXTA)
株高基調で投資ブームの昨今、汗水垂らして働くより投資で稼いだほうが有利という考え方があります。その根拠となるのが著名経済学者トマ・ピケティが、データ分析により結論づけた「r>g」の不等式です。しかし、この有名な式は一部で誤解されて伝わっています。本稿では『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』より一部抜粋のうえ、お金を稼ぐ手段としての投資と労働の意味について、ご紹介します。
「投資をがんばったほうがいい」という誤解
「投資は労働より有利」
こんな誘い文句をよく聞く。投資を勧める人は、その根拠として有名な経済学者の名前を頻繁に持ち出す。
ピケティが18世紀までさかのぼってデータを分析したところ、「r>g」の不等式が成り立つ、つまり、運用によって得られる富のほうが労働によって得られる富よりも成長が早いとの結論に至っている。
こうした文章を読むと、つい「労働よりも投資をがんばったほうがよい」と誤解してしまいそうになる。
ピケティといえば、『21世紀の資本』で格差拡大の仕組みを解明した著名な経済学者だが、彼自身が、本当に「労働よりも投資をがんばったほうがよい」と主張しているのだろうか?
たしかに、彼は「r>g」という式を提示している。歴史的に見ると、投資の平均リターン(r)は約4〜5%だが、労働収入を左右する経済成長率(g)は1〜2%にとどまる。
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