広島電鉄、もう1つの被爆電車「8月9日」運行の意義 同社最古の「156号」が5年ぶりに本線を走った
実施のわずか3日前に公表されたにもかかわらず、今回の特別運行には多くの市民や鉄道ファンが押し寄せた。
とくに、原爆ドームをバックに撮影できる相生橋や、被災後最初に復旧した区間に相当する広電西広島―観音町(同区間は1964年に現在のルートに変更されているため、復旧当時の場所とは異なる)ではカメラの放列が見られ、テレビや新聞でも大きく取り上げられた。

平和だからこそ楽しめる鉄道趣味
駅前大橋ルート開業という記念すべき年、そして原爆投下による被害から復活して80年という節目の日に、広電が「もう1つの被爆電車」を走らせた意義が、広く伝わったことだろう。
一方で、沿線には路上駐車や交通ルールを無視したレンタサイクルなど、“追っかけ撮り鉄”による悪行も散見された。事故や大きな混乱はなかったものの、このような行為が見られたことは非常に残念である。これが引き金となり「今後は運行しない」という事態にもなりかねず、筆者を含め鉄道ファン全員の自制や自浄が求められる。
ともあれ、今回の156号記念運行は次の時代に向けて広電の決意を表し、また人々が平和について考える、そのきっかけとなったに違いない。何の不自由もなく街を歩くことができ、鉄道趣味を楽しめる、そんな世界が続くことを願う。

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