広島電鉄、もう1つの被爆電車「8月9日」運行の意義 同社最古の「156号」が5年ぶりに本線を走った

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実施のわずか3日前に公表されたにもかかわらず、今回の特別運行には多くの市民や鉄道ファンが押し寄せた。

とくに、原爆ドームをバックに撮影できる相生橋や、被災後最初に復旧した区間に相当する広電西広島―観音町(同区間は1964年に現在のルートに変更されているため、復旧当時の場所とは異なる)ではカメラの放列が見られ、テレビや新聞でも大きく取り上げられた。

広島電鉄 2025年8月9日 156号記念運行
5年ぶりに広島の街を走った156号(撮影:伊原薫)
【写真】広島電鉄が被爆3日後に運行再開してからちょうど80年後にあたる2025年8月9日に記念運行した「156号」。5年ぶりの運行となった当日の様子をもっと見る

平和だからこそ楽しめる鉄道趣味

駅前大橋ルート開業という記念すべき年、そして原爆投下による被害から復活して80年という節目の日に、広電が「もう1つの被爆電車」を走らせた意義が、広く伝わったことだろう。

一方で、沿線には路上駐車や交通ルールを無視したレンタサイクルなど、“追っかけ撮り鉄”による悪行も散見された。事故や大きな混乱はなかったものの、このような行為が見られたことは非常に残念である。これが引き金となり「今後は運行しない」という事態にもなりかねず、筆者を含め鉄道ファン全員の自制や自浄が求められる。

ともあれ、今回の156号記念運行は次の時代に向けて広電の決意を表し、また人々が平和について考える、そのきっかけとなったに違いない。何の不自由もなく街を歩くことができ、鉄道趣味を楽しめる、そんな世界が続くことを願う。

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伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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