広島電鉄、もう1つの被爆電車「8月9日」運行の意義 同社最古の「156号」が5年ぶりに本線を走った
被爆後の一番電車が走ってからちょうど80年となる2025年8月9日の早朝、広電は1両の電車を特別に運行した。
156号を名乗るこの小さな車両は、いわゆる「被爆電車」のうちの1両。被爆電車はこの他に650形3両が残っており、こちらのほうがよく知られている。650形は現在も営業運転に就くほか、貸切列車として平和学習に使われているのに対し、156号はこの日がおよそ5年ぶりの運行となった。

原爆ドームをバックに相生橋を進む156号(撮影:伊原薫)
ここまで大切にされているのは、もちろん理由がある。この156号車が製造されたのは1925年、つまり、今年で100歳という“広電最古の車両”なのだ。
一度は廃車になった156号
1970年ごろに一度廃車されたものの、最後まで残った単車(2軸車)ということもあり、解体されずに保存。後に再整備が行なわれ、1987年に復活を果たした。
ただし、広電にとっても156号は特別な車両のようで、貸切列車などとして使われることはなく、今回のようにシンボリックな運行に徹している。

156号の車内。木の壁や床と白熱電灯が時代を感じさせる(写真:広島電鉄提供)
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