コニカミノルタ「縮む事務機市場」で描く生存戦略――大型買収の失敗や事務機低迷で4期連続赤字、構造改革とリストラ終えて再起を期すが…
1つ目は、大型買収でのつまずきだ。
2017年、コニカミノルタは過去最大の買収に打って出た。官民ファンドの産業革新機構と共同で、アメリカの遺伝子解析企業アンブリー社を約900億円で買収。遺伝子情報をもとに治療方針を決定する「プレシジョン・メディシン(精密医療)」に参入した。
続いて約320億円を投じ、アメリカの創薬支援企業インヴィクロ社も傘下に収めた。この買収2社を中核とする子会社レルムIDx(REALM IDx)を2018年に設立し、「将来的にアメリカで上場し、グローバルで個別化医療を行う」と華々しくぶち上げた。
日本企業がプレシジョン・メディシン領域に大型投資をする例は珍しく、当時社長だった山名昌衛氏は「2021年度に(バイオヘルスケア事業の)売上高1000億円への拡大を目指す。営業利益率20~25%を狙う」と意気込んでいた。
モノ言う株主が急浮上
2つ目の誤算は、屋台骨の複合機ビジネスにも揺らぎが生じたことだ。コロナ禍では半導体の供給逼迫や輸送期間の長期化による供給制約が広がり、販売を大きく落とした。
これらの要因が複合的に作用して業績は急降下。2020年3月期から4期連続で最終赤字に転落し、単純合算すると約1473億円に上る。40%台半ばで安定していた自己資本比率は、一時30%台半ばまで低下してしまった。
大幸社長は「等身大経営」を唱え、縮小市場にある事務機事業で収益性を堅持しながら産業分野へと軸足を移す方針を掲げる。過去の多角化の反省を踏まえつつも、新たなM&Aにも意欲的だ。
だが株主が、コニカミノルタの再起を待ってくれるとは限らない。シンガポールの投資ファンド・エフィッシモはコニカミノルタ株を8月時点で9.16%まで買い増している。エフィッシモは同業であるリコー株23.88%も保有しており、外圧は強まりつつある。今年6月の定時株主総会では、大幸社長の再任案に対する賛成率は62.75%にとどまった。
「縮小市場の中でどう生き残るか」という危機感は、事務機業界全体に共通している。構造改革にはひと区切りをつけたが、コニカミノルタの再出発は波乱含みだ。
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