音楽家が「ホームドア」を開発するとこうなる 「新発想」で高コストと重量の問題を解消!

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JR八高線の拝島駅で試験中の昇降バー式ホーム柵

開発のきっかけとなったのは、向谷さんが鉄道関係者との雑談の中で「ホームドアを導入したいが(コストが)高くて重い」との声を聞き「必ずしも板状の扉である必要はないのでは」と思ったことだという。今年の春から開発をスタートし、すでにこの新型ホームドアで特許を取得。耐久性などの指針についてもクリアしているという。

新型登場でホームドアの普及進むか

同社は鉄道会社の乗務員教習用を含む運転シミュレーターを多く手掛けているが、向谷さんは「鉄道の安全にどれだけ寄与できるかという点では、ホームドアも(シミュレーターと)根っこは同じ」と語る。低コストで整備できる点から、「大手以外で、ホームドアの導入が必要と考えている事業者に提案していきたい」と向谷さんはいう。

新型ホームドアは11月に千葉県の幕張メッセで開かれる「鉄道技術展」で展示予定だ。今後は耐久試験を繰り返し、国交省の支援を受けられれば、実際に駅での実証試験を行う予定という。

今年2月に閣議決定された国の「交通政策基本計画」では、2020年度までにホームドア設置駅を約800駅とする目標を掲げている。機能と低コストを競う各種の新型がさらなるホームドア普及への弾みとなるかが注目される。
 

小佐野 カゲトシ 鉄道ライター

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おさの かげとし

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年独立。国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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