音楽家が「ホームドア」を開発するとこうなる 「新発想」で高コストと重量の問題を解消!

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また、JR西日本も自社開発のロープ昇降式を桜島駅(大阪市)での試験ののち、六甲道駅(神戸市)で運用中。2016年には高槻駅(大阪府高槻市)に新設するホームにも導入する予定だ。JR東日本の八高線拝島駅(東京都昭島市)でも、2015年3月末から昇降バー式の試験を行っている。

昇降式の特徴の一つは、扉を左右に開閉するホームドアと違って戸袋が不要なため、開く部分の幅を広くできることだ。開口部の幅が広ければドア位置が異なる車両にも対応が可能となる。また、板状の扉でなくワイヤーやバーを使うため、重量が軽く抑えられ、ホームの補強などの設置コストを下げることができる。だが、昇降用の柱がホーム上に建ち並ぶため、視覚障害者からは歩いているときにぶつかることを懸念する声もある。

ここにきて新たに登場したのが、板状の扉の代わりにバーを使い、左右に開閉するタイプのホームドアだ。開発したのは、熱烈な鉄道ファンとして知られるミュージシャンの向谷実さんが率いる「音楽館」(東京都品川区)。同社は列車の運転シミュレーターや駅の発車メロディなどを幅広く手がけているが、ホームドアの開発は初めてだ。

視認性がよく、そして低コスト

鉄道関係者との雑談が開発のヒントになったと語る、向谷実さん (撮影:梅谷秀司)

動作は一般的なホームドアと同じだが、ドア部分をバーにしたことで大幅な軽量化を図っており「一般的なホームドアは扉1つ分で約380kgあるが、これはユニット自体の重さが80kg程度なので、扉一つ分で150〜160kg程度を目指している」(向谷さん)。

板状の扉でなくバーにすることで「ホームの眺めも維持でき、乗務員からホーム上の様子が見えるメリットもある」という。

試作機のドアの開口幅は2.8m。一般的な通勤電車のドア幅は1.3mだが、余裕を持った幅とすることでドア位置の微妙に異なる複数車種にも対応できる。また、停止位置が多少ずれても対応できるため、目標位置に自動で列車を停止させるTASC(定位置停止支援装置)などを導入する必要もなく、全体でのコストも低く抑えられる。

開口幅が広い場合、板状の扉では開いた際に隣同士の扉が重なり合うようにしないと戸袋に収納できないため、本体が厚くなってしまう。だが、同社の新型ではバーをくしのように互い違いに配置しているため、ドアが開いた際もお互いの隙間に収納され、厚みを抑えられるのが特徴だ。

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