「彼らを全面的には否定できない」犯罪学の専門家が指摘「私人逮捕系YouTuber」が“警察の代わり”になるーーが暴論とも言い切れないワケ

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実はアンケートを主催した小宮氏の意見も、これに近いという。その理由を小宮氏はこう話す。

「国家権力である警察が、画一的に上から監視するような近代のシステムは機能しなくなっています。もう一度、どのように治安を維持していくか考え、再構築していく必要がある。世直し系ユーチューバーの是非という問題だけじゃなく、『これからの治安をどう守るか?』という大きな課題なんです。そう考えると、一概に『世直し系ユーチューバーなんか止めちまえ』という状況じゃ済まないでしょうね」

警察官のなり手はいなくなっている

問題点のひとつとして、警察官の深刻な人手不足がある。警視庁の採用試験は、2010年度には約3万人が受験したが、2023年度には約9700人に減少している。

警察官の採用試験の受験者数も、2014年度の約9万7000人が、2023年度は約4万8000人に落ち込んでいる。

こういった現状を鑑みると、警察だけに治安維持を委ねるやり方は成り立たないという。警察から委託されたユーチューバーたちが、警察官の補完をすることで、治安の維持につながる。国家機関とユーチューバーが対立するのではなく、共存することが必要だという。

これはまさに、現代の企業が直面している問題と同じように思える。かつては新卒で正社員として入社し、定年まで働く企業戦士が、戦後の日本を経済大国に押し上げてきた。

だが現在、終身雇用は崩壊し、転職は当たり前になった。人々の働き方も多様化し、会社への依存度そのものが低くなっている。ほかにも、少子高齢化による労働人口の減少などさまざまな原因により、企業は人材の確保が困難になっている。

そこで、手段のひとつとして用いられるのがアウトソーシング、つまり業務委託である。小宮氏が提言する、警察とユーチューバーの連携も同じことだ。

ユーチューバーたちが活動するプラットフォームを警察庁が整備し、ガイドラインやマニュアルを作成する。きちんと研修も実施し、管理監督のもとで世直し活動を行ってもらう。国家が公認した自警団として、実用化するというわけである。

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